2013年11月07日
発掘作業は11月に延びましたが、体験する日も残り僅かとなりました。
現在は縄文時代の住居を精査しています。
けっこう大きな住居跡のようで、隣に並ぶ住居の1.5倍はあります。
こちらの方が少し古い時代の住居跡らしく、不思議な事に炉の石が半分ありません…。(引っ越しの際に持って行ったのか?)
炉の下から出てくる土器は焼きがしっかりしていて、紋様も魅力的なデザインとなっています。
中央には敷物の跡らしき大量の墨が見られ、地べたに直接座っていなかったのだと考えられるそうです。
隣の住居は増築されたかのように、ピッタリと並び二世帯住宅のようにも見えます(笑)
住居は楕円型っぽくなっているようで、何とも不思議な住居跡だと感じました。
11月9日(土)に現地説明会があるので、興味のある方は是非見て頂きたいです。
出土品の展示もありますので、遺跡に興味がない人でも翡翠好きなら面白いかと思います。(小さいですが、なかなか良い翡翠が出土していましたから)
この体験で、いろいろと勉強になりました。
遺跡に対してではなく作業自体で感じたのは、土を造形する作業の「徒労感はハンパない」事です(笑)
雨風で崩れ、踏まれて崩れ、何度も同じ事を繰り返します。
だから作業になるのですが、不滅の存在、特に私はヒスイを扱っているので、それを強烈に感じました。
全霊をかけるのならば、絶対に不滅で在るものに限ると心底思いました…。(造形に限り)
遺物に対しての疑問は、「これだけ洗練されたデザインの土器を作成できたのなら、より高めた存在にしようとは思わなかったのだろうか?」という事です。
石器を作っていたのなら尚の事で、不滅の存在である鉱物の大切さを理解していたはずです。
それと同時に、石器の加工の苦労は現在の比ではなく、どうせ作るなら「壊れない品や壊されない品」の制作へ向かう人が出てくるのが当然だと私は感じます。
壊れない品であれば、強度があるという理由だけで翡翠を使用しますが、壊れない品+壊されない品となると「不滅でありながら、大切にされるだけの魅力のある品」である必用があります。(後者の方がより不滅の存在になります)
壊れない品だけを求めた場合、コストパフォーマンスが悪くなるかと思います。
道具である磨製石器は壊れるから次がありますが、翡翠で作ってしまうとそう簡単には壊れません。
しかも加工には、とてつもなく時間がかかる事から疲労も桁違い、道具としては割に合わないかと。
そんな理由も在ったのか無かったのか…?、翡翠による磨製石器は今の現場からは出土していません。(他の鉱物での磨製石器は数多出土しています)
現在の遺跡から出てくる翡翠は、原石・ハンマー・欠片くらいです。
原石の用途は見て楽しんでいたのか、ハンマー用に用意したのか、交易の為に所有していたのか、加工用に所有していたのか…、よく分かりません(笑)
ハンマーの用途は、ぶっ叩く為に頑丈で重い翡翠を使ったのでしょう。(全般に質は良くない)
それ以上でも、それ以下でもないかと…。
欠片ですが、ハンマーの欠片などもある中に片面が擦られているものが存在します。(1cm位の欠片)
一見、加工をしていた証にも見えますが、磨斧の欠片のように二面を擦られている欠片を私は見ていません。(磨斧の欠片は表面と側面の部分が擦られているものがある)
なので私には石割の際に「砥石で状痕を付けた場所を割る際に出た欠片」にしか見えないんですよね…。(けっこう深く砥石で痕を付けますから)
もし加工が成されていたとしても面で擦られている事から、磨斧制作での派生から誕生した大珠(長者ヶ原から出てる大珠)のようなタイプだと思います。
曲線がある翡翠の欠片が出れば、ここで珠・玉を加工していた事に疑いは無くなるのですが…。
研磨の最中に割れる事はあまりないのですが、もしあったのなら面だけ擦る行程だけではなく、曲線をとる行程でも割れる筈です。
なので、きっと石割の行程での欠片なのだなぁ〜、と今現在は思っています。
まぁ、石割も加工の内に入るんですけどね(笑)
縄文人に対して感じた事は、基本的に「現代人と本質は変わっていない」って事です。
著しく変わったのは使う道具だけ、規模がデカくなり大勢が共有する道具が多くなったので、被害も大勢が被る事になっただけに思えます。
全ては道具のみを一方に進化させていった事の結果であり、現状は成るべくして成ったって感じです。
縄文時代の漆器も、年代が古い方が作りが良いのだそうです。(漆100%)
量産するようになると混ぜものが多くなり、かなり耐久性が低下しているのだそうです。
この時代で、既に「過剰な普及のデメリット」が示されているわけですね…。
道具を制限すれば、かつての縄文人のように心穏やかに過ごせるのだろうか?、それとも過去を美化しているだけに過ぎず、それなりの闇があったのだろうか…。
是非、直接聞いてみたいものです。(不可能ですが…)