作者の思考

ヒスイ日和(卯月の七)

2020年04月30日

連休に入りましたが、今年のゴールデンウィークは自粛の休日となっているようです。
天気が良いだけに勿体ない…、でもここを耐え抜いて「約束された未来」に備えたいと思います。
糸魚川でも県外ナンバーを見ると敵視する人が多くなりましたので、はやる気持ちを抑えて慎重に行動して下さい。

それでは4月七回目の探石記録を書きます。

ちょっと不安定な天気でしたが、晴れ間が出たので押上の海岸へ探石に出かけました。(4/28)
午前中は青空が広がっていましたが、お昼頃から暗い雲が山側から流れてきました。
急に陽が陰り小雨まで降る始末、このまま続けるか迷いながら歩きました。





風は強くて冷たく、波は短くて速く、光源は乏しい、あまり良い環境ではありませんでした。
何よりも冷たい風が顔面を直撃するので辛い、来なければ良かったと思いました(笑)




でも「せっかく来たのだから」と思い我慢して歩いていると、折り返し地点に到着する頃には淀んでいた雲は何処かに流れ青空が広がってきました。




この時点で見付けたのはネフライト2個と、オンファス輝石1個。


ネフライトは透明感は無いですが質は良さそうです、なので磨いて飾ってみます(笑)

オンファス輝石は相変わらず滑らか、小さいので加工には適しませんが見本にはなります。
色が明るめでも石質が良いタイプがあるのは、母体となるヒスイの影響を強く受けているからなのでしょう。(オンファス輝石自体の純度も影響しているのかな?)


次は石英斑岩3個と玉髄1個です。


石英斑岩は2個が薬石タイプで、1個が赤色を示すタイプです。
赤色タイプは薬石と言わないのだろうか?、薬石も石英が取れて穴凹だらけなタイプもありますね…。
どちらが良いのかは用途によるかと、加工素材としては「詰まっているタイプ」が良いし、お風呂などに入れて楽しむのは穴凹だらけタイプが良いのかも。(吸水性が高め?)
穴凹だらけタイプを湯飲みなどに加工したら、中身が漏れて使えませんね(笑)
まぁ、私としてはどちらにも使える「詰まっているタイプ」を優先しています。(作り手なので)

玉髄は小さいですが綺麗な紋様が見られます、表面の白い部分を削り磨けば更に良い景色が現れるかもしれません。


それと「なんか面白い流紋岩」を発見、思わず手に取りました。


何だろうか、紋様も姿形も面白い(笑)、サイズ感も良いので飾りたくなります。
この「手にしたら手放せなくなる不思議な魅力」はなんだろうか?、持ち歩くには邪魔なサイズだけど、持ち帰り飽きるまで眺めたいと思います(笑)
注意すべきは「これを繰り返すとゴミ屋敷みたいになる」って事で、一定数が集まったら手放す石を選び海に返すのが良いです。(選別していく事が大切、活かせるのなら加工した方が良い)


帰り際にオンファス輝石2個と、ヒスイ転石1個を発見!


オンファス輝石は先程と同じく滑らかで良質、加工に適したサイズではないので見本として活用します。(磨くとピカピカになります)

ヒスイ転石は久々のレア度3.5クラス、特徴を見る限り碧ヒスイのタイプでしょう。
石目が多く茶色の脈が流れ、一定の透明度を示し乾くと微細な翡翠輝石がキラキラと輝きます。
石質自体は良く自然研磨でも光沢を備えている状態、残念なのは外側(表皮側)のカケラなので不純物がやや多く、茶色の染みが広がる部分があります。(裏側は表皮を残しています)
でも押上海岸のヒスイ転石は「加工素材」と言うよりは、「転石標本(標石)」となるので、練度と練磨が高めの転石を「そのまま楽しむ」のが良いのでしょう。(加工しようと思えば可能なので、焦る必用はない)


あれだけ吹いていた冷たい風は緩やかになり、帰る頃には気温も急激に上昇しました。
「どうせならこの時間に来れば良かった」とも思いましたが、良い出逢いがあったので良しとします(笑)



ちなみに、最初と同じような位置に人影が見えますが別人、たまたま同じような風景となりました。(天気の変わり方が解りやすいかな?)

今回はヒスイ転石(ヒルコ神)と出逢えました〜、こればかりは運なので予想できませんが、だからこそ面白いと言えますね!
観光物産センターが休業しているので売上げは最悪(ほぼゼロ)ですが、ここで暮らしている恩恵は受けられて嬉しい、めげずに乗り越えたいと思います。

これで今回の探石記録を終わります。



ここで集めてきた石たちで作った品を紹介、異玉の「千変の幼生」を幾つか作ってみました。


左から鶯石(ロディン岩)、オンファス輝石、玉髄、石英(水晶に近い石英)です。
主に「加工したらどうなるのか?」のサンプルとして作ってみました、まだ磨きが不十分なので仕上げの段階にあります。

特徴として、鶯石(ロディン岩)は硬度の不安定な部分があり形状が歪みやいけど光沢が出る、黄緑も綺麗でヒスイとの区別は慣れると可能です。

オンファス輝石は基本的に石質が安定していて、流れる石英脈も凹凸とならずに均一に磨けます。
若干ですが濃淡部分の肌理が違い、そこの艶を一定にする作業が必用となります。

玉髄は石質は完璧、ヒビや空洞さえ気を付ければ無傷の品となるでしょう。
でも無傷だと面白味は薄れ、人工物との区別が難しくなるので、縞瑪瑙部分や致命的じゃないヒビ(秘めたる美)を活かす必用があると個人的には感じます。

石英(水晶に近い石英)は石目とヒビ(非なる美)の区別を見極める必用があります。
茶色い砂岩のような内包物もあり、それを残すと面白い景色にはなりますが、その部分の磨きが一定にならず粗に見えてしまいます。(よって取り除く)
この品では背中と中足部分に入ったので削り取りました、天然のコーティング(水晶と溶け合った状態)だったなら、残す価値はあったかもしれません。

大体こんな感じかな、異玉は海岸転石で制作するルール(自分で設定したルール)なので、完全に無傷にはなりませんが、愛着が高い作品に仕上がります。
なので楽しんで加工が出来ました(笑)、それと改めて感じるのが「ヒスイの高い万能性」で、他の石を加工すればする程に強く感じます。

別格と言うか…、桁違いと言うか…、さすが「神の石」だと改めて感じました。
素材として加工可能なヒスイ転石(姫川河口でのヒスイ)も溜まってきていますので、それでも異玉を作りたいと思います。(万化の蛹も作らねば…)
異玉の「千変の幼生」と「万化の蛹」は姿形(デザイン)に「鍵」のイメージも込めていて、「新たな扉を開け放つ事(新たなる成長)」を使命として作っています。(よって千変万化をテーマにしています)

なんであれ、どの石も可愛らしく美しい、それぞれの美しさを最大限に引き出して、未来に残せる作品に仕上げたいと思います。


私事ですが、またオッサンから爺さんに一歩近づきました…、なんだか40代は時間の流れが遅い気がするなぁ…、それだけ充実しているし試練も多いと言う事だろうか?
やりたい事が多いので好都合ではありますが、遅々として進まない現状はストレスになります。(それは私だけでは無いですね)

思い通りにならないのは世の常、せめて後悔のないよう生きたいと思います。
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