作者の思考

ヒスイ日和(弥生の九)

2020年03月31日

早いもので3月も終わり、卒業・旅立ちの季節から始まりの季節へと移り変わります。
コロナウイルスとの闘いも「新たな幕開け」となり、ステージを変えた生存競争が始まるのでしょう。
ここで「最も恐ろしいのが人間」って事がバレなければ良いのですが…、もしこの一線を越えたなら幻想は粉砕され「人の文化の終焉」が訪れるでしょう。
何の為に「知性」が備わっているのか、各々で考えた方が良いのでしょね。

それでは3月最後の探石記録を書きます。

前日に引き続き天気は晴れ、霞がかる水平線は春ならではの景色と言えます。(3/26)
今回は久しぶりに青海の海岸での探石、良い出逢いを願いながら歩きました。



浜は波が弱く短くてなだらかで、とても探しやすい状態でした。
若干、小砂利が多い状態でしたが「打ち上げられた石の多さ」で十分補っています(笑)


まずは右側から探石、波打ち際を見ながらも「後方の乾いた石たち」にも注目しました。
しばらくしてオンファス輝石とバラ輝石を発見、どちらも波打ち際での出逢いです。


オンファス輝石は青海の海岸らしい姿、錬磨は劣りますが素材として優秀です。
ここの海岸の特徴も出ているので、サンプルとしても活用できます。

バラ輝石は「再会」と言う感じ(笑)、前日よりも濃い色で乾いた際のキラキラ(輝石)も美しいです。
これで4個目、稀少な部類なので連続で出逢えたのはラッキーでした。(河川工事も影響しているのかな?)

希少性で言えばピンクゾイサイト〜チューライトと、どちらが珍しいのだろうか?
まず発色を比べるとピンクゾイサイト〜チューライトの方が人気があるように思えますが、ネームバリューはバラ輝石(ロードナイト)の方が格上に思えます。

素材としての保有量を見ると、昔から石拾いしている人のストックにはピンクゾイサイト〜チューライトの方が多く、バラ輝石は「知られていなかった事」や「発色が渋い事」もあり保有している人が少ないようです。(ピンク翡翠として集めていたのだろうから、ピンク色が明るい石を優先したのでしょう)
ただ、ピンクゾイサイトとチューライトを分けて考えると、圧倒的にチューライトが少ないので、希少性で言えば「桃簾石(チューライト)」、「バラ輝石(ロードナイト)」、「ピンクゾイサイト(マンガン量が足りない桃色の灰簾石)」の順になるのだと思います。
私の保有しているサンプルの数もそうなので、あながち間違った予測ではないと思います(笑)


次ぎに見付けたのはロディン岩とヒスイが混ざった転石。




表面(表皮)を見ると緑が入ったロディン岩、しかし裏面(内側)を見ると左半分に淡紫のヒスイが見られます。
滅紫を示す灰簾石の類かとも思いルーペで確認したところ、発色の違いと翡翠輝石を確認する事ができました。(念には念を入れました)

側面を見ると半々なのが良く解るかと思います。
紫ヒスイには珍しい事ではなくて、大きな紫ヒスイほどロディン岩が混ざっています。(ロディン岩に紫ヒスイが混ざっているのかな?)
ちなみに、これを半日くらい塩酸に入れておくとロディン岩部分がバラバラになって、ヒスイ部分が残ります。(繋ぎみたいにロディン岩が入っていると、ヒスイ部分も繋ぎがバラバラになり小さい欠片になります)

よって、この「古代人の奥歯」みたいな転石は、ヒスイ輝石岩とした方が正確なのかもしれません。(何にせよ面白いサンプル(見本)です)


更に、軟玉(アクチノ閃石?)と緑色石英です。



軟玉はアクチノ閃石で良いのかな?、蛇紋岩のクリソタイルと似た感じでもあるのですが、硬度が違うから大丈夫かと思っています。(これも聞いてみるか)
部分的に黄緑を示す事があり、その発色がロディン岩(鶯石タイプ)に似ているので、何かしら影響し合っているようにも思えます。(ロディン岩と混ざっていたりする)
乾いていると白くパサつきますがキラキラして綺麗、磨ても満足な光沢は出ない感じだけど黄緑は見やすくなる、なんとも扱いづらい感じがします。
磨き方を変えるか、コーティングするかで解決するかも…、そこまで拘っている人がいるなら知り合いたい気もします(笑)

緑色石英は「まさに緑色石英」って感じ、もう母体だったであろうキツネ石が見られません(笑)
ニッケルでの発色ならクリソプレースと呼べるそうです。
疑問なのはキツネ石自体に雲母が入っていて、その雲母(緑色の雲母)が起因しての発色だったらアベンチュリンになるのだろうか?(と言うか、そういう状態にも成りうるのだろうか?)
ちょっと気になりますが、クリソプレースの方が格上なので「成るのであればサンプルがほしい」ってくらいの感じです(笑)
今回のは微細な雲母は見られないので、クリソプレースの類で良いのだと思います。(色の起因自体も違うのだろうし)


今度は左側を探石、こちらの方が砂が多く上がっていました。
注意深く押し上がった乾いた石たちを見ていると、緑が入る流紋岩?を発見。


これは珪孔雀石が混ざった流紋岩で良いのかな?、まずキツネ石タイプではないです。
川で見付ける事も多く、粉々した緑部分と石英脈が混ざっている事が多いです。(珪化が良いタイプには粉々した緑部分は見られない感じ)
この緑は銅による発色なのだろうか?、また答え合わせして確かめようと思います。


次はソーダ珪灰石とブドウ石が混ざった転石。


どちらの比率が高いのかは「白濁の度合い」に、関係しているように思えます。
この場合だとソーダ珪灰石の方が多いかと、このタイプはヒスイを含む事がり、中身に圧砕状で入っている事もあります。(大きい方が可能性が高くて、今回のサイズでは入っていないでしょう)
要は大きなヒスイ輝石岩の外側(表皮)である事が多く、外側(表皮)が剥がれた状態なのか、中身を伴って砕けた状態なのかでヒスイを含む可能性(含む量)が変わるようです。

石自体は綺麗、どちらかと言えばブドウ石が多い方が透明度が高くなり淡緑になります。
硬度も高い方で光沢も出せなくはない、不純物により硬度が不安定になるのでデリケートな石(岩石)ではあります。

バランスの良いタイプを活用するのが理想的、名前はブドウ石(プレナイト)として表示できるのだと思います。(って言うか、表示できるタイプを活用する)


最後は発色と珪化が優秀な緑色石英(キツネ石)。


上のは特に珪化が良くて「これがヒスイだったら…」って、多くの収集家が悔やむタイプです。
思わずキツネとして騙すなら最後まで騙して欲しいと願ってしまいますが、事実を受け入れて「この石に宿る魅力」に向き合いたいと思います(笑)

普通に見て凄く綺麗、「こんな石が日本にあるんだ」って普通に思います。
上位となるヒスイ(他、優れた石たち)があるので存在が霞みますが、グレードが良ければ「ある程度の美石たちに匹敵する存在」にはなれるかと思います。(ヒスイは存在自体が特殊なので「絶対に越えられない壁」が存在する)

とにかく必須事項は改名、キツネ石って名前では話にならない(笑)
石好きのお爺さんは「フォックスストーンは?」と言いますが、英名にしてもキツネじゃ意味不明すぎて駄目だと思います。
クリソプレースと称するには不十分な純度、無難なところで緑色石英(グリーンクォーツ?)とするのが関の山なのだろうか?

どの鉱物にも言えますが、存在を高める際に「石質の悪さは致命的」だと言えます。(名前の悪さも)
基礎であり本質、全ての存在に言える事であり色はその次ぎ、誤魔化しの効かない地金が「存在の高さを裏付ける魅力の質量」と言えます。

そこまで高めた領域を求めて行くのか、それとも「それぞれの石」に合わせて研磨方法や活用法を変えて行くのか、両方を両立するのなら「そもそもに別の高みを目指している」って事を割り切って進まなくてはならないでしょうね…。

あ、面倒な話になってしまいました。
とにかく探石は楽しいし、糸魚川は石の宝庫なので最高、未来を考えても可能性は広がって行きます。(人材とシステムを整備する必要はあるけど…)

今後も引き続き「神々(自然)との交歓」を楽しみたいと思います。


これで今回の探石記録は終わります。
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