作者の思考

鴬石と桜石と名付ける

2016年05月07日

以前(かなり前)にも書きましたがロディン岩と呼ばれている鉱物の一部を、別の呼び名にしようかと思います。(私の中での呼び名です)

その呼び名を変える、一部のロディン岩がこれ。
ピンク色の方は桃簾石と呼ばれていますが、鉱物的には灰簾石の部類に入るのだそうです。
しかし原石から受ける色彩は灰色では無いので、ロディン岩と同様にイメージが湧きません(笑)
岩石としての名前もイマイチ、正当な鉱物としての名前も(斜灰簾石であれ単斜灰簾石であれ)イマイチ、もう別の名前(愛称)で呼ぶしかないでしょう。


糸魚川の全ての桃簾石と呼ばれる石が灰簾石(ゾイサイト)と言う訳でもなく、鑑別に出して桃簾石(チューライト)と出るのもあるようですが、そう多くは無いようです。

とにかく改善したいのは、人間社会(って言うか鉱物好きの小さな領域)でのロディン岩と呼ばれている鉱物の待遇です。
加工をすれば解りますが造形用の鉱物としては非常に優秀、とても頑丈で艶も出ます。
でもヒスイと偽って売られたり、ヒスイ探しのハズレの石としてキツネ石っぽい扱いをされています。(私も拾い上げてガッカリする経験がありますし…)

これは非常に勿体ない…、ロディン岩を改めて見ると萌黄色と桜色が同時に存在するものがあります。
この配色はとても美しく日本の春を想わせる景色だと思います。
桜と鴬が同時に存在する鉱物、そう考えれば魅力的に見えてくるのではないでしょうか…。

実際問題として鴬はそんなに綺麗な鳥ではありませんが、春を象徴する存在として古くから用いられている現実はあります。
例えば餅とか…、とにかく薄緑〜翠の日本らしく春らしいものに用いられます。(オンファス輝石は、緑青(ろくしょう)のような渋い発色と模様が魅力です)

桃簾石の桃の文字も、今の日本では桜にした方がイメージに合うでしょう。(古代ならイザナギが逃げる際に、ヨモツシコメ達に桃を投げたりしますが(笑))
でも流石に桜簾石では誤解を招きますので、桜石として鴬石と対で活用するのが理想かと思われます。

結局どちらも岩石とすればロディン岩、当然双方の相性は良いので組合せもスムーズかと思います。
あとは鴬石・桜石と呼べるレベルのロディン岩が必用なのですが、これがヒスイ並に見つからないのですよね…。
普通に考えれば解る話なのですが、鉱物として何であれ綺麗な石には需要があります。
需要があるという事は人気(ある程度の人気)がある訳で、川や海に在れば喜んで持って行くでしょう。
そういった石は、もっと昔に拾われていて現在の河川などから出てくる可能性は低いです。

しかし考えようによっては「昔の人(石の好きの住人)は持っている」とも言えるので、全く無いと言うわけではありません。(翠系のロディン岩は、ヒスイと勘違いして持っている人が多い)
原石として萌黄色と桜色が同時に入っているロディン岩は少ないですが、加工して組み合わせる事を目的とするなら別々でも良いかと思います。
本来は同じ母石から作った方が「逸品」と言う感じなのですが、そういったタイプのロディン岩の多くは原石のままで楽しめるので、加工するのに躊躇してしまう思いがあります。(石好きの場合ですが)

自然の成した姿を越える作品が作れるなら躊躇はしませんが、絶対に越えられない現実もありますので、その存在の前では放棄する事しか人間にはできません。(プレートになっていれば、それを越える事なんて雑作もない(笑))
なので自然が成した姿の中で向き合えるレベルの原石を加工し、人と共に在る作品を作って行きたいと思っています。(どう制限してもエゴには変わりないですが、そこは自然(神)に許しを得ようと思います)

幸いロディン岩はデカイ鉱物なので、大抵は切断されており水石としての価値はありません。(逆に飾石の価値は上がったりする)
求めるのは「萌黄色と桜色が同時に入っているロディン岩」では無く、個々で美しい発色を持つタイプとすれば難しくないように思えます。

こうすればヒスイの影でコソコソとさせる鉱物では無くなり、ヒスイと並べて販売しても怪しまれない存在になるのではないでしょうか。(影武者にしとくには勿体ない)

きっとブレスレットあたりが良いのでしょうね…、でも素材が何であれ丸玉を作るのが大変なのは変わりませんが(笑)
どうしても高く売れる方を優先してしまうのが経営ですが、創作活動としては優秀な鉱物をテーマに合わせて加工する事が目的となるので、その可能性を試してみたいと思います。

こういった事が「心の豊かさの象徴」を、未来へ繋げて行けるの方法だと信じています。


それはそうと、ヒスイでもピアスを作ってみました。
紫ヒスイも桜(花全般)を表現するのに活用できますし、淡翠は芽吹きを想わせてくれます。
桜石(ロディン岩)のピアスと並べても、違和感はありません。
ここに鴬石(ロディン岩)で作ったピアスも並べたら、もっと面白いかもしれませね(笑)



需要があるかは解りませんが、確実に言える事は「飾っておいても綺麗」って事です(笑)
自身としてもピアスはしませんので、アクセサリーとして活用する事もないのですが、インテリア感覚で揃えると非常に魅力的です。
もっと違う色のヒスイ(鉱物)で作って、バリエーションを増やしてみようかと思っています。

販売の事も考えなくてはいけないのですが、「どうせ不景気で結果が出難いのなら楽しんだ方が特だ」と言う考えに行き着くところは、イザナギから究極逃避を受け継ぐ男の性(さが)を感じてしまいます(笑)

30で立って、40で迷わず、と言いますし、迷いを断つ初老を向かえる前に後悔の無いように、盛大に迷ってやろうかと思います(笑)
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