作者の思考

転石の加工

2015年11月02日

またまた友人から、転石の加工を依頼されました。

黒と白が交じり合った、力強いヒスイを加工します。
このタイプのヒスイと出会ったのは初めてとの事で、モコモコとした表皮を裏面に残
してほしいとの依頼でした。(よっぽど気に入ったヒスイなのでしょう!)
丁度、石目もあるのでそこを切断して垂飾を制作します。





「剣のようなデザインに」との要望でしたので、叢雲の垂飾(カンナ)として制作し
ました。
とても魅力的な模様を映し、白地が薄緑に染まっている部分があるので春雷を想わせ
ます。
Aカンを付けられるよう穿孔は小さめにし、革紐にも対応できるようバランスをとり
ました。





普段、私が加工する黒ヒスイよりも石墨の量が多いのか、研磨の際の粉は濃い灰色に
なっていました。
こういった事で、同じ黒ヒスイでも石墨の量が違うのが解ります。
漆黒でも粉は薄い灰色だったりして、黒ヒスイの濃さと比例していない事もあるよう
です。(一応、私の経験での話しです(笑))



要望通り裏側は表皮を残し、自然な仕上がりにしています。
原石の状態から肌は滑らかだったので、なかなか面白い仕上がりとなりました。
画像では解りづらいですが、緩やかな凹凸があり自然研磨の手触りも楽しめます。

これでまた一つ、友人の思い出のカケラをカタチにできました!
私の制作した作品を喜んで身に付けてくれるので、作者として嬉しい限り、創作活動
を続けて行く上で同じ時代を生きられる事も心強く思います。(私が創作活動を続け
る限りヒスイに飽きないよう、よろしく頼むよ!)

私の場合は、糸魚川ヒスイの事をもっと知らなくてはならない領域があるので「飽き
る」なんて言葉は使えません。
もし私が活動を辞めたのなら、それは飽きたのではなく「諦めた」と認識して下さい。
(飽きる程の領域に達していませんので…(笑))



紫ヒスイのカケラで、開花のストラップも制作してみました。
革紐にウッドビーズと、唐草模様のシルバーバーツを組み合わせています。
季節とは合っていませんが、来年の春を想って作ってみました(笑)
ちょっと気が早かったかな〜、でも厳しい冬を越す際の支えになれば…、と思ってい
ます。




ちなみに今現在は、国津神「建御名方神」を制作しています。
建御名方と奴奈川姫の制作は、もっと先に伸ばそうと考えていたのですが、その思い
と逆行してデザインを思い付いてしまったので、まずはそのデザインを具現化しよう
と思います。(自分でも不思議なくらいの天の邪鬼な性格だ(笑))

結局、私にとって「仮想空間のデザインほど無意味な存在も無い」のですよね…。
自分でデザインして何ですが、この母子のデザイン自体も気に入ったので、やる気が
出てきました。
でも好みは人それぞれに在るので、私の一つの表現として見てもらえれば幸いです。
(後、同じく自分でデザインして何ですが、加工が大変で心が折れそうになっていま
す(笑))

日本の神々の姿は、一つでは無く八百万あります。
同じ題材(神名)でも違ったデザインが在って良いので、一つの姿として制作し、未
来に可能性を繋ぎたいと思います。(結果的に自分の未来も広がって行くし(笑))


次回は奴奈川姫の制作…、すごいプレッシャー(勝手に感じている(笑))ですが、
カタチにしたいデザインが在るって事は、作家にとって幸せな事なのでしょうね!
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