作者の思考

標石拾いと勾玉制作

2014年04月20日

天気が良かったので、海岸へヒスイの標石を拾いに行きました。
ちなみに標石とは「標本になるレベルの波間に漂っている漂石(転石)」の事で、私の解釈で区別しているヒスイの転石です(笑)

今回はとても小さいですが、綺麗な青ヒスイの標石に出会いました。




青ヒスイにもピン〜キリがあり、これはかなり良質な青ヒスイのカケラです。
青色がこれ以上濃くなると紺色になり、透明度が低くなります。
かなり練られた良質な青ヒスイで、良く見ると小さなヒスイ輝石がキラキラと輝いています。
海による自然研磨で艶が出ているので、磨きをかけたらピカピカになる事でしょう。
日本海をそのまま閉じこめたような色彩で、まるで「海そのもの」のカケラと出会ったようです。
(加工作業により爪が汚くてすみません(笑))

白地に青が入るコンサワ系の青ヒスイは質が粗いのが多く、磨きが出しにくかったりします。
でもその分、青色は鮮やかに入るので、丁寧に研磨してあげると良いかと思います。
その系の青ヒスイって、海ではあまり見かけないんですよね…。(ちょっと不思議です)
キメが粗いので残らないのかもしれませんね。



以前に姫川で出会った青石で、勾玉を作ってみました。




当初は鮮やかな青色が入っていたのですが、乾式での研磨あたりから緑っぽく変色したように思えます。(黄色も混ざっていたけど変色して渋い緑色になった)
摩擦熱によるものなのか、酸化によるものなのか、両方の理由からなのか…、よく分かりません。(気のせいって可能性は無いかと)
蛇紋石などは、酸化によって枯れ草のように変色したりするので、同じ理屈なのかもしれません。
もっと不純物が少なければ、もっと紺色が保たれるのかもしれません。(光源によっても色が違って見えたりもします…)
きっと青緑〜濃紺が限界で、磨いた場合に青色になる事は無いのでしょう。
肌が粗い状態では光が乱反射して白っぽくなり、紺色が青色に薄まって見えていたのだと思います。
その上で、熱あるいは酸化により変色し、より青色から離れたのだと思います。

青石の多くは、リーベック閃石や苦土リーベック閃石や藍閃石などの角閃石が混ざった鉱物で、アルカリ角閃石岩という総称で呼んだ方が無難なようです(笑)
これにもピン〜キリがあって、質が良くなると紋様が少なくなり良質なネフライトのような肌質になります。(ネフライトよりは柔らかい)
色も濃紺になり、不純物が少ないのでピカピカに仕上がりやすくなるようです。(このタイプで作れば、最低限の変色で抑えられるかと思います)
そういった青石は稀少で、滅多には出会えない「底なる玉」の分類に入るかと思います。

加工した感じだと、角閃石と言うよりは蛇紋岩の硬さに近いです。
ネフライトと比べているからかもしれませんが、非常に加工しやすく削った粉がヌルヌルして何度も手から落ちてしまいました(笑)
不純物が多いと良い紋様が出ますが、ちょっとした亀裂が見られ気になる人は気になるかと思います。(そこが魅力でもあるんですけど)
とても魅力的な石ではありますが、経験を積んで仕上がりが予想できるレベルになってから加工した方が、より良い作品が作れるかと思います。

でも、この過程が楽しく、全てが分かってしまったら面白くなくなるんだろうな…、と思いました(笑)
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