作者の思考

新作紹介(玉作工人)

2013年04月09日

玉作さんの作品「沼川の神桜」の制作行程です。

朝より攻め始め、破砕、二平面出し、背砥ぎ、内研磨、魂入れ(穿孔)、荒研。
ここまで延べ時間28時間。

内研の砥石作成に思ったより時間がかかりましたが、やはり腕が鈍っており、時間がかかってしまいます。





この硬玉、だいぶ前に奴奈川の方より縁あっていただいたものですが、非常に緻密、極めて堅牢でかなり難儀しました。その方曰く、50年くらい前に手に入れた物だそうで、「今はこんなのは無い」と話されていました。

その色は、確かな桜色、頭には若葉の緑色、「威」は極めて高いです。
ここまで透明度が出てくると、ラベンダー色は本当に気品ある桜色になります。

この玉の良い所は、頭に薄い青葉色を携えたところでして、ぜひ女性に持っていただければ良いなと思っています。

玉作とは各工程の積み重ねで、最終的にその成否が決します。
どこかで手を抜けば必ず後でそれは返って来ます。

古式玉作とはそういうものです。

この形は元々、この玉石の中にあったもので私がそれを外に出したにすぎません。
あくまで「縁」(えにし)これ以上でも、これ以下でもありません。



玉を攻める時の心理状態は「神駆ける」とでも申しましょうか。
完全に無心でただひたすら攻め込みますから、あっという間に一日が終わってしまいます。


名は「沼川の神桜」
神奴奈川姫を待つ場所で咲いた古式奴奈川勾玉です。
乳白色とほのかな紫、頭には春の新緑を持ち、透ける紫に流れる流水模様から発する「威」は古より綿々と続く、大いなる護りとなります。

玉作 工人 拝
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