作者の思考

海からの贈りもの

2012年06月17日

この間、浜辺でヒスイを探していたら美しい紫ヒスイの漂石に出会いました。


海で拾える明るい紫系のヒスイですが、そのタイプの中でも濃い紫色をしています。
3cm程で小さいですが、今では貴重なサンプルとなるヒスイです。


全体に紫色が入っていて、しっとりとした質感がとても魅力的です。
チタン石が入りやすい紫ヒスイですが、目立ったインクリュージョンは見られません。


それほど透明度は高くはありませんが、光を受けて紫色が神秘的に輝きます。
良質の紫ヒスイを拾う事は珍しいので、サイトに標石として掲載したいと思います。

今年も海から良いヒスイを贈られて嬉しい限りです。(まだまだ出会うチャンスはあります!)
ヒスイとの縁はこの仕事に向き合って努力していれば、きっと深く結ばれていくでしょう。(そうであると信じたい…)

その「繋がり」を確認する為に、海へヒスイを拾いに行っているようにも思えます。
良いヒスイを手に入れるなら買った方が早いし、浜辺での漂石では小さいので加工には向きません。
加工材料として求めているのではなく、自分の「運による繋がり」の確認をしているのだと思います。(サンプル集めも兼ねての運試し)
海でのヒスイなので「奴奈川の底なる玉」ではなく「日本海の内なる玉」と言えるのかも。

ヒスイ愛好家の人達の話ですが、ヒスイの方から寄ってくる人が希にいるらしいです。
そういう人には何かしらの理由があるのだと思います。(強運だけではない何か)
海底を探すのとは違って、浜辺で良質のヒスイ漂石と出会えるのは運でしかありません。
そういった運を持つのは、贈り物に感謝して自然との関わりを深める事ができる人なのでしょう。

同時に人との繋がりも大切にして、良い縁で集う人達を大切にできれば言う事ないですね。
価値観を共有できる人達がいれば、その人の人生はとても豊かなものになると考えます。

悠久の時より糸魚川に在り続けるヒスイを、今日に至っても求めて自らの意志を刻む。
この大切さも色んな人達と共有できたら最高です。

ヒスイ加工は百年の歳月を経て伝統工芸の条件(最低条件)をクリアすれば、糸魚川にヒスイ工芸士としての「ある程度の伸び代」を残せる事でしょう。(一級宝石研磨士の資格では、個体能力に大きく依存するので伝統には成り難い)

作る者が要となる伝統と、それを支える事のできる「まちづくり」が重要になると思います。
(これが出来なければヒスイ加工は、ただの換金作業の一つで終わる)

しかし、担い手は「守られるだけの存在」になってはなりませんね。
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