作者の思考

作品紹介

2021年07月10日

今回は、月読命「翠月」の八作目を紹介します。

白地にうっすらと翠が滲むヒスイ「彩雲」で、月読命を制作しました。
流れる雲のような模様を映す彩雲ヒスイにより月の肌を表現し、その身を淡翠が包み込む事でテーマの「翠月」に相応しい作品となりました。
背景に新緑の月桂樹の葉を配置し、深緑へと向かう季節を祝福する「優しく見守る三日月」を表現しています。(健やかなる成長を見守っています)




春先を想わせるヒスイ「芽吹」に似ているヒスイですが、白地の透明度や模様、そして色の入り方が異なります。(母石は同じで場所が違うだけなので、似ているのも当然ですね(笑))
このタイプは淡い発色の特徴がありますが、ヒビ(非なる美)は少なく模様が最大の魅力になります。(更に透明度を増すと陽炎のようになります)





光を受けると優しく輝き、その柔らかな彩光が精神の安定をもたらします。
これも彩雲の特徴なのですが「光に透かすと無傷(石目も見えない姿)」で、全身が滲むような淡翠の光に膨張します。
梅雨明けの夜空に浮かぶ淡翠に輝く三日月、そんな景色が頭に浮かびます。





硬度も高い素材なので艶やかに仕上がりました!、誕生した日がスーパームーンを見られる日だったので、知らずに作ったけれど必然性を感じました。(タイムリーな紹介じゃないけど…)
夕方のニュースで知ったのですが、残念な事に糸魚川では見られませんでした…(光っている雲は見られた)、でも自分で作った翠月を眺めていたので問題は無いでしょう(笑)

この素材からは1点しか加工可能な部分は切り出せなかったので、どれを制作するか迷いましたが表情を吟味した結果、月読「翠月」の新作を作る事に決めました。
力強さを必用としない性質のデザイン(存在)なのでピッタリ、逆にその柔らかな印象が作品としての完成度を高めてくれます。

今までの経験則があるので予想はできますが、それでも仕上がりは不安になります。
どう仕上がるのだろうか?、どう仕上げればヒスイの魅力を最大に引き出せるのだろうか?、と、肝を冷やしながら創作していると、その度に成長している実感があり、仕上がった姿には感動すらします。(その感覚に全く慣れないのは何故だろうか?)

これも私にとっての「神々との交歓」なので、今後も自身の信仰を高めて正面から向き合って行きたいと思います。
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