作者の思考

ヒスイへの道「蛇紋石編(四)」

2011年12月27日

これで最後になるであろう蛇紋石の話をしていきます。

サンプルを探している中で、面白い蛇紋石が見つかりました。


見つけたのは斑点模様のある透明の蛇紋石です。(酸化して黄ばみが出てきました)
硬度も以前に見つけた蛇紋石と同様で柔らかいです。


正に調べたサーペンティンの見本通りって感じの蛇紋石でした。
その蛇紋石をよく見ると、紫色をした部分がある事に気づきました。


この紫色した部分は何なんだろうか…?
そういった不純物が入る事は図鑑では記されていなかったので、その正体を知りたくなりました。
地域特有の「インクルージョン」か「紫色した蛇紋岩」か…、不思議です。

硬度を調べてみると、紫色の部分は少し硬い感じがするので「紫色した蛇紋岩」ではなさそう。
しかし素人なのでハッキリとした事が分かりません。

丁度その頃に、フォッサマグナミュージアムで鉱物の展示会がある事を知り、そこで鑑定もしてくれるとの事だったので、この蛇紋石を見てもらう事にしました。

集めたサンプルを持っていって学芸員に尋ねたところ、一瞬驚いた表情を見せましたが、よく見てから「蛇紋石ですね」と言いました、きっと一瞬は良質のヒスイに見えたのでしょう。

蛇紋石である事は分かっていたので、これが「ボーウェナイト」か「ウィリアムサイト」に相当するのかを聞いてみたのですが、どちらの名前も「聞いた事がない」と言われました…。
いや…、図鑑にも載ってるし…、とも思ったのですが、改めて紫色した部分を聞いてみても「分からないです」と言われました…、何だか来た意味が無い。

後から知ったのですが、一般的に学芸員と言うのは鉱物学者ではありませんので、鉱物の詳しい知識が無くて当たり前なんだそうです。
あの場所での学芸員なので、ある程度の鉱物の知識は必要となりますが、日本で知られている一般的な名前や特徴を覚えるのが基本みたいです。
そもそも日本は外国(主にドイツやアメリカ)に比べると鉱物の研究が凄く遅れているそうです。

紫色の部分も機械にかけて分析しないとハッキリした事が言えなかったのだと思います。
なら「分析しますか」って聞いてほしかった…。

イベント中だったので対応できなかったのだろうか…。
しかし疑問思うことは、あの施設には鉱物に詳しい学芸員が一人いると聞いています。
当時は二人いた学芸員に聞いたのですが未解決…、どちらとも別の人だったんだろうか?
もうかなり昔の事なので顔も覚えていません。

現在まで忘れていて未解決のままにしていましたが、そろそろ解決したいですね。
ジオパークになってヒスイ以外の鉱石も調査していると思いますので、再び聞いてこようかと思います。


ちなみに「宝石となる」とありますが、これは商業的な価値ではなく、貴石〜半貴石に相当する事を言っているのだと思います。(美しいか否かの問題)
ボーウェナイトやウィリアムサイトを宝飾に加工して販売しても高値は付かないでしょう。

主に彫刻(美術品に)するらしく、ニュージェイドって名前でビーズにもなっているようです。
結局はヒスイにちなんでの名前をつけて、商業的に価値を付けるのが一般的なのでしょう。

しかし美しい事には間違いないし、蛇紋石の中でトップクラスなのも間違いありません。
加工して身につけていても、それが蛇紋石なのか他者には判断できませんし、身につける人が満足し、人としてのモラルを持った人格者ならば、その存在は「宝石となる=価値が在る」と考えも良いと思います。
私は巳年なので、どうも蛇紋石に愛着を持ってしまいますね…。

でもピンのものは原石の姿で美しいから加工する必要は無いでしょう。(破片とかを加工するとか)
加工すべきは「キリとされている存在」で、それらの評価を高める事が「作る側」の役目だと思います。
とは言え、質がある程度しっかりしていなくては加工しようもありませんが…。
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