作者の思考

ヒスイ日和(卯月の弐)

2020年04月10日

桜は満開となり、日中は暖かい陽気が続いています。(まだ夜は気温が低いけど)
河川敷の桜も満開となっていましたが、潮風による塩害なのか、それとも急激に気温が下がった日に霜が降りたのか、桜の花びらの一部が茶色に変色して少し残念な姿となっていました。
私(人間)が勝手に残念がるだけですが、やはり美しい存在には本領を発揮していてほしいです。

それでは4月二回目の探石記録を書きます。

朝から晴れていましたが仕事(加工)に専念し、午後からの探石となりました。(4/7)
急にお昼頃から雲が広がり、やや曇り空っぽくなってしまいました…、それでも芽吹き出した植物が私を迎えてくれているようで嬉しくなります。(勝手に思っているだけです(笑))




浜は砂が多く上がり波も強め、でも風はなく干潮だったので歩きやすく探しやすい環境でした。
打ち上がった石や、波が大きく引いた際に出てくる石などを注意深く見ながら歩きました。




川との合流点に着いた頃には雲から太陽が出始め、辺りを明るく照らすようになりました。
頻繁に太陽が出たり陰ったりを繰り返すと、その明暗に目が慣れるのに苦労します(笑)
姫川の流れは強めでしたが波の方が高く、たまに浜辺を越えて川に流れ込んでいました。




今回は不思議と石の種類が豊富だったので、ワクワクしながら探せました。
そんな中で見付けたのはロディン岩、紫色の脈が流れています。


紫色はザクロ石の成分かと思いますので、これは灰簾石が混ざったロディン岩なのでしょう。
滅紫が通常ですが、このタイプのロディン岩に入ると発色が明るくなるのが不思議です。

しかし逆に硬度が低くなるようで、光沢を示す筈のアケビ石(灰簾石)に艶は見られません。
場所が姫川河口なので基本的に練磨が足りませんが、それでも硬度の違いは解ります。(表面が白くパサつきます)
表面に閃石のようなキラキラも見られアクチノ閃石が混ざっている感じなので、そもれ影響しているのかもしれません。(もしかしたら、この紫色は雲母の成分によるものなのかも?)


次は黄鉄鉱が大量に入った珪岩、これは金華石で良いのだと思います。


満開となった桜のように咲き乱れる金色(こんじき)の華、やっと出逢えました!
探石をしていて金華石は初めて、普段から意識していないと気が付かないのですが、ここまで表面に金色が輝いていたら誰でも解るでしょう(笑)

運が良かった…、座りも良く姿も良い、これ程の美石に出逢えるのだから探石はやめられません!
石を拾い続けているお爺さん達の気持も解るな〜、しかしそればかりに執着していては仕事にならない矛盾、仕事の一環になっている自分は幸せなのだと感じます。(逆に仕事にした苦しみもあるけどね…)
とにかく、これはこのまま飾石(水石)として活用するのが良いかと思います。(勿体なくて切断できない(笑))


波打ち際が荒れだしたので川淵を歩いていると、淡紫が入るタイプのヒスイを発見。


このタイプはロディン岩と混ざるので、どこまでがヒスイなのか悩む事が多いです。
一応、表面には微細な翡翠輝石がキラキラと輝いていて、淡紫とも淡灰色とも見分けがつかない色が所々に見られます。

これはヒスイ輝石岩かな〜、切断してみると解りやすいので確認したいと思います。
どちらであれ加工には適応できる素材なので、無駄なく活用したいと思います。


姫川はやや濁っていて増水していますが、浅瀬では水底の石を確認する事ができます。
手で水温を確認してみると生ぬるく、流れの穏やかな浅瀬は太陽光と石の温もりの影響を多く受けているように思えました。




今度は座りと紋様の良い石英斑岩(薬石)を発見。


紋様のバランスが良い、大きさも良く座りも良い、河口にしては練磨も良い、なかなか優秀な
石英斑岩(薬石)です。
飾って楽しむか、お風呂に入れて楽しむか、悩みますが両方楽しんでみます(笑)


波打ち際に戻りピンクゾイサイト(灰簾石)を発見。


特に白地が美しく、そこに淡く明るいピンク色が入った美石です。
正確には「ピンク クリノゾイサイト」と言うのだろうか?、灰簾石も「単斜灰簾石」になるのかな?
省略しているので忘れがちですが、どうせならマンガン量が足りないピンク色の灰簾石を「桜簾石」にできないのだろうか?(灰と桃の間って事で)

どうであれ今の季節にピッタリの石、このタイプの最大の魅力はピンク色ではなく母石の「白地」で、白が美しいほど価値が高まります。(その白地にピンク色が多く濃く入っていれば最高級)
金華石に続き、素晴らしい美石に出逢えて満足です!


最後は、ちょっと変わった石を発見。



ロディン岩なのか…、珪石なのか…、魚卵みたいな模様が不思議で面白い石です。
貝殻(巻き貝の蓋?)かとも思ったのですが硬度が高く、この時点で光沢を示すので硬度6以上はありそうです。(重さも十分にあるし)

何なのだろうか?、瑪瑙系でもなさそうだし…。
稀にロディン岩で同じ様なのがあった気もするのですが、記憶が曖昧すぎて確証がない(笑)
よって、解る人に聞いてみる事にします。(珪化した貝殻か?)



探石を終えて少し時間があったので、姫川港の近くの「ひめかわみなと公園」で花見を楽しみました。(広く覆っていた雲が無くなり快晴となりました)






ここは私の思い出の公園、初めて糸魚川に来た際に借りたアパートが近くにあって、よく遊びに来ていました。
最初に来た訪れた季節も春で、この桜が見事に咲いていました。(懐かしいな〜、ここの桜は完璧でした)
もうそのアパートは無く、アパートが在った場所は防風林を兼ねた土手になっています。(公園の一部になった感じです)

ここでは近所の年輩の人たちがマレットゴルフ(ゲートボール?)を楽しんでいたり、チビッコが遊んでいたりします。
あまり活用されていない感じがするのは残念、けっこう広くて歩いてみると面白い発見があったりします。(今は人が少ないのは仕方ないですね…)

そんなこんなと、桜の木の下で思い出に耽りながら疲れを癒し、満足な成果と共に家に帰りました。(幸せの一時です)


移ろいながらも変わらない季節の美しさ、変わず胸躍る探石の楽しさ、飽きる事のない創作活動、唯一致命的に崩れているのが共同幻想での経済(売上げ)…、こればかりは仕方がない。
それに私の仕事は「売上げの見込み」や「売上げ予測」が出来た事がないので、毎月、毎年、確証のない不安定な状態は「日常茶飯事」と言えます。(「在るべき姿」と「約束された未来」は見えているけど)

ある程度の耐性があるから自由を楽しめるのでしょう、安定と引き替えにしてきた時間は私に「一定の強さ」を与えてくれたように思えます。
それと忘れてはいけないのが「支えてくれた人たち」で、とても感謝しています。(いなかったら、とっくに死んでるかと…)

この試練を終えた後、存分に楽しめるよう「コミュニティーの場」を少しずつ開拓して行きたいと思いますので、その際には協力をお願いします。


これで今回の探石記録を終わります。
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