作者の思考

ヒスイ日和(如月の壱)

2020年02月02日

2月に入りましたが、やはり雪は積もっていません。
先日は急激に気温が下がり、みぞれが少しだけ降りましたが、それも数時間後には消えて無くなりました(笑)
この調子で春(3月)を向かえられたら私としては嬉しい、タイミング良くオーダーメイドの仕事も入ったので加工もはかどります。

でも油断は禁物、2月では何度もドカ雪を経験しているので、その時の備え(心の準備を含む)はしておこうと思います。(故郷のドカ雪は半端じゃなかった…)

それでは2月一回目の探石記録を書きます。

久々に朝から晴れたので、姫川河口へ探石に行きました。(2/2)
相変わらず河川敷には雪は無く、山も冬期とは思えない程の薄化粧です。
太陽光は既に春の日差しで、間違えて芽吹いてしまった草木も多いかと思います。(それでもまだ、芽吹き色より茶色が多いです)




浜は波が強かったですが風は弱く、砂が多い感じでしたが歩くに連れて大きめの石が増えていきました。(本来ならもっと大きな石がゴロゴロしているのですが…)
休日だったので数人が訪れていて、それぞれに探石を楽しんでいました。




何か良い出逢いを…、と願いながら歩き川との合流点に到着。
押し寄せる強い波が浜辺を横断し、浜の先端に行くのは危険な状態でした。
川の流れも速めだったので、長居せずに引き返しました。(水温も低く手が冷たかった〜)




安全な場所に引き返して現段階での石たちを撮影。
緑色石英(キツネ石)2個と、アケビ石(ロディン岩)2個です。


とりあえずキツネ石は「緑色石英」と呼ぶ事にしました、良い愛称が思い浮かんだら改名します。(独断と偏見で(笑))

アケビ石(ロディン岩)は大きい方は脈で滅紫が流れていて、小さい方は滲んでる感じで入っています。
このタイプは撮影では綺麗に映らない特徴があるような気が…、それとも私のデジカメが古いのかな?
滅紫の中でも明るいタイプを集めていて、暗くなりすぎたタイプは拾っていません。


次ぎもアケビ石(ロディン岩)です。


紫ヒスイかとも思ったのですが、特徴からロディン岩としました。
多分、僅かに紫ヒスイも混入しているのだと思う、でもロディン岩部分の方が多いので「綺麗なアケビ石(ロディン岩)」とします。


来た道を引き返しながら探していると、今度は芽吹き色の鶯石(ロディン岩)を発見。


右の白地に黄緑が入っているのが「最もヒスイに似ているタイプ」と言えます。(よってカワセミとの区別を付けるべく、春を想わせる鳥のウグイスと名付けています)
画像だけでは識別は難しいでしょう、でも母石を確認すれば殆ど石英だし、黄緑部分は張り付いているように入っているので一体感がありません。
でも稀に一体になっているのもあって、それはより識別が難しく、更にどちらであっても「とても綺麗」です(笑)


こちらは綺麗なネフライトと珪石?(流紋岩か?)と緑色石英(キツネ石)です。


ネフライトは通常より綺麗なタイプ、透明度も高くオリーブ色っぽい緑です。(なかなか貴重なサンプル)

珪石?は、何故なのか淡く水色がかっていて、見付けた際は陶器かプラスチックだと思ったのですが、石の形をしていたので「ヒスイか?」っと期待して拾い上げるとヒスイでもない…。
チャートっぽくもあり裏側には灰色の母石が見られます。
ハウライトなのか?、なかなか不思議な石だな〜、蛍光灯下で見ると白にしか見えないほどに淡い水色だし。(でも光を当てると綺麗な淡青に透ける)

キツネ石は「これぞ緑色石英」って感じ、石英部分が多く一体感が見られます。
緑色の起因はニッケルとかクロムとか聞きますが、今もハッキリとは解らないのだろうか?(両方によるものなのか?)


大きな雲で太陽が隠れるようになってきたので、そろそろ帰る事にしました。
今回はヒスイとは出逢えなかったか…、と残念に思いながら、それでもと僅かな確率に賭けて帰り道のルートを変えて河川を歩きました。(普段は河川敷を歩いて車に向かいます)

しばらく歩いていると「先程も見付けたであろう芽吹き色」が目に入りました。
綺麗な鶯石(ロディン岩)か?、と手に取った瞬間にそれは「ヒスイ」だと解りました。



「何が違うのか?」と問われたなら「全てが違う」と答えるしかないです(笑)
これは小滝系のヒスイで、ロディン岩や曹長石と混ざる事も多いタイプですが決定的に異なる質感は玄人なら解ります。(経験豊富な加工人なら感覚で解る)
結局は色で判断するよりも「母石」が重要で、それがヒスイであるかが決め手と言えます。

最後に河川を歩いて良かった〜、一体どんな確率なんだ?って思いましたが、素直にヒスイとの縁を喜びたいと思います(笑)
河川でのヒスイなのでカグツチ神のカケラだな〜、イザナギ(川)によって分解させた状態、これがイザナミ(海)により錬磨させたならヒルコ神になるでしょう。

ちなみ、未熟児を象徴するヒルコ神ですが、稀に完成された姿で見付かる事があり、それはもう別の神に生まれ変わっていると言えるでしょう。(正確にはヒルコ神の別の神格)
カグツチ神にも同じ事が言えて、「人が手を加えなくても完成された状態」で川から見付かる事があります。(これもカグツチ神の別の神格)
それはそれとして多くが「カケラのまま」なので、それらに人がカタチを与える事は赦されています。(と言うより求められている)

自分と出逢ったヒスイのカケラたちがどう姿を変えるのか、考えただけでもワクワクします。
今年はそれを活かした作品に力を入れて頑張りたいと思います。(同時に美しく面白い天然石たちも活用してみたいな〜)

これで今回の探石記録は終わります。
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