作者の思考

建御名方神が完成!

2016年01月01日

明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします。

昨年は、様々な人(ヒスイ)との出会いがあって充実した年でした。
おかげさまで無事に新たな年を迎えられ、縁の在った方々にとても感謝しています。
今後も創作活動に尽力していきますので、ご協力をお願いします!

今回は、建御名方神が神玉として誕生しました!


本来は母(奴奈川姫)を先に制作するのが道理なのですが、父(八千矛神)を制作してあるので先に建御名方神を加工しました。
どちらかと言えば父親似のイメージが強いので、デザインのベースも父と同様に獣形にしています。
加工したヒスイは黒と青が入り交じる激しい景色を映し、日本海の荒波を感じさせます。
しかし裏側は穏やかな凪を映していて、剛と柔をバランス良く宿している素材です。
リングには土俵を想わせるデザインと、鋭利な矛のイメージを表現してみました。

名前は「鬼士奔兜」(キシホントウ)、奔兜を「ホンカブト」と読ませても良かったのですが、この呼び名は一部の人にしか伝わらないかと思い断念しました(笑)
意味は読んで字の如し、武神(武御雷神)と肩を並べるだけの畏怖を込めています。
顔には国津神(国津の男)の特徴として、戦化粧(丁字)を彫り込んでいます。



デザインのモチーフは「甲冑」「柱」「相撲」「鬼」です。
それらを合わせて考えたら「カブトムシ」が思い浮かびました。(その場合、クワガタは武御雷になる?)
父から譲り受けた「武の象徴たる矛」も背中に持たせ、更にそこへ馬力を表現する為に歯車のデザインを合わせました。
これにより強靱な突進力と体幹を表し、拳術・柔術に優れた神だと言う事を表現しています。(私なりに)
ちなみに角の部分は、弁慶の薙刀をイメージしてデザインしてみました。




建御名方神に込めたコンセプトは、「運命に抗う力」と「高潔な意志」です。
これは武御雷神と同様で、運命を切り開く事で時代を創っていく士の生き様を込めています。
お互いが命をかけて「一対一で闘う高潔さ」と、「闘う事でしか切り開けない現実」を直視する強さを忘れない為の楔として具現化しました。
失態の償いに己の腹を切って名誉を保った者達の祖、その気高さは未来永劫、子々孫々にまで語り継がれて行く事でしょう。



柔術の達人として、武の基本である円を腕の部分にデザインしてありますが「両腕を失った事」を示す為に、側面で立つ事ができないようにし「バランスを崩している姿」も表現しています。
ですが逆に、これがテコの原理となり両足と体、そして首の力で相手を跳ね上げる事が可能です。
自身で立つ事が出来ない状況にあったとしても、周りからの支えがある限り大黒柱としての血は、士(漢)としての務めを果たします。(完全にバランスを崩しているわけでは無いので、実際には立つ事は可能です)



国津神は、より人に近い姿として伝わっていますが、人に近づけ過ぎると原点から離れていきます。
神は自然であり地球、それを忘れずにデザインしなくてはなりません。
自然と共存している植物・昆虫・動物、それらをモチーフにしながら人の文化と合わせて行けたらと思っています。

それにしても加工が大変…、本来なら大理石などで試作をしてから本番に入るのがでしょうが、緊張感や新鮮な衝動を楽しみたいので、ぶっつけ本番で加工しています。
でもイメージトレーニングは数十回やっているので、頭の中では数十体が仕上がっている訳です(笑)
まぁ、現実としての労力がイメージでは反映され難いので、そう簡単に進むわけもありません。
「削ったら戻せない」この緊張感をも楽しんで創るのは、造形作家の醍醐味なのかもしれませんね(笑)

未来へ繋げる事も考えて、私なりに可能な限りのコストを軽減してはいますが、何をしても大変な事には変わりがない…。
繋げる事での一番大切な事は「信念なのだ」と、改めて思い知らされます。

超絶技巧を求めるのは職人の方々であり私では無い、それは後のバロック期に任せて、これから来る(であろう)ルネサンス期を楽しみに活動したいと思います。(かなり前から待っているのですが(笑))
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