作者の思考

作品紹介

2015年11月17日

今回は、天照大御神「幻日」の二作目を紹介します。

非常に透明度の高い、良質のヒスイで加工しました。
私が翠雪と呼んでいるヒスイで、質感・艶・透明度と最高レベルのヒスイです。
秋の終わり、そして冬の始まりを感じられるように撮影してみました。




全体を淡い緑が染みわたり、ぼんやりと輝く姿は幻日を想わせます。
原石の時点でヒスイ輝石が殆ど見えず、一つの結晶体のような安定感がありました。
とても硬く堅い肌をゆっくりと研磨して、魅力的な艶を引き出せるよう努力しました。




そのライチのような肌は、まるで生きているかのように瑞々しく、光を受けて膨張し
ます。
冷たさと温かさを同時に感じられるような質感は、晩秋、あるいは立春に相応しいか
と思います。
テーマ通り「雲を神秘的な色に染める自然現象」を、そのまま映しているかのような
作品です。




淡い緑の中を流れる一筋の脈は、光の濃淡を表しているかのようです。
厚さが7mmと若干薄い作りなので、身に付けるのには最適です。
艶やかでありながら、しっとりとした質感、その肌触りを楽しんで下さい。




通常でも透明感のある肌ですが、光にかざすとより神秘的に輝きます。
晴れ間が少ない北陸の冬の最中でも、この作品を光に当てれば太陽を感じる事ができ
ます。
まさに幻日、幻とは言えその支えは大きな希望として所有者を照らす事でしょう。






この作品は月読の「月光」や、素戔鳴の「天上天下」と同じヒスイで加工しています。
部分的に緑の濃い所がありますが、ヒビも多いので慎重な見極めが必用となるヒスイ
です。
かなり昔に出たヒスイのようで、現在では入手が困難になっています…。
大切に加工しながらも、その経験に感謝して、より多くの事を学べるよう心がけたい
と思います。

未来へ繋げる為にも自分だけで消費せず、作品共々その先の継承者に残せたのなら、
やがてそれが伝統となって人の未来を照らす事でしょう。

これは縄文の血を受け継ぐ日本人の使命であり、神々(自然)の加護を受ける事がで
きる「遺伝子への感謝のカタチ」でもあるように思えます。
きっと1万年もの間、狩猟で生きてきた民族なのだから、八百万の神々を感じる事が
できるのでしょう。
その誇りは「忘れてはならない先人の遺産」なのだと思います。


この現代で明確にして行かなくてはならない事は「伝統と便乗の違い」なのだと思っ
ています。
伝統とは「継続していく姿(生き方)」であり、便乗は「一発屋の消費」です。

売り方を制限し、作り方も制限する私のスタイルも9年の間、なんとか継続する事が
できました。
その間には辛い時期もあり、同様の困難は今後も在り続ける事でしょう。
ですが「支えられた現実」も経験として残っていますので、これからも自分のスタイ
ルで未来へ繋げて行こうと思っています。

このスタイルこそが「縄文の意志」であり、日本人の原初の誇りなのだと私は認識し
ています。
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