作者の思考

標石との出会い

2015年09月07日

今回は、私の父が出会った標石を紹介します。

この日の海は台風の影響が少し出ている状態でしたが、目立って荒れてはいなかった
ようです。(台風が上陸する前、8月の中旬頃です)
父が言うには「波打ち際を見ていると、僅かに膨張する光が見えた」のだそうです。
打ち寄せる波が速かった事や、大きめの石が固まっていた事もあり、最初は素通りし
たとの事でした(笑)

その日はヒスイを探している人も多く、浜辺を一通り見てもヒスイは全く見つからな
かったそうです。
帰り際にどうにも気になったようで、膨張する光の場所へ行き、固まっていた大きめ
の石たちをどけたところ、このヒスイが出てきたのだそうです。

思わず「おおお〜!」っと叫んだらしく、拾っていた数人が「何事か?」と集まって
来たそうです。
集まった人達も見てビックリしたようで、本当に「綺麗なヒスイが拾える事」を確信
したようです。(何人かは御利益を得る為に、触られてほしいと頼んできたようです
(笑))
出会った現場を自身の眼で目撃したので疑う余地もなく、ヒスイの聖地である糸魚川
の神秘を体感したのだと思います。(ヒスイの標石には滅多に出会えませんから…)

流石は私の親父、ヒスイを探知する眼と勘はズバ抜けています。(順序から言って、
私が父に似たのでしょうけどね(笑))

久々に海の標石(標本になるヒスイ石)を、手にする事ができました。(標石未満の
ヒスイ転石には、何度も出会っているのですが…)
ちなみにその日の私は、仕事(作品制作)をしていたので海には行っていませんでし
た…。
行っていれば私が出会っていたかも!、と悔やみましたが、最終的には私の家に来る
ので何の問題も無いんですよね(笑)
これが他人だったら「しばらくは夢に出て、うなされるかもしれない」と父も言って
ました(笑)


それでは、今回の「底なる玉」の美しい姿を眺めてみましょう。

淡い翠が白地を染める白翠ヒスイの標石です。
その丸みを帯びた姿は「つきたての餅」や「猫などの肉球」を想わせます。
頑丈だけど柔らかい、そんな印象を強く与える不思議な姿です。




表面にはキラキラと微細な翡翠輝石が輝き、張り付いたように入った角閃石の周りは、
特に明るい翠が発色しています。
裏側の発色は弱いですが、白地をよく見ると雪や雲を想わせる模様が広がっています。
長い間、海で磨かれた事で非常に滑らかな肌質となっていて、この不思議な触り心地
は癖になります(笑)





けして透明度は高くはありませんが白地が綺麗な事もあり、光を受けると全体を淡く
染める翠が膨張したかのように輝きます。
ヒスイは透過の姿も魅力的ですが、この凹凸による柔らかな陰影も、標石を楽しむ重
要な要素となっています。




今年も父のおかげで、良い標石を手にする事ができました。
現在でも「このレベルのヒスイと出会える」って事を立証したので、拾えずに諦めか
けている人達(特に初心者の人達)にも励みとなると思います。

標石と出会えるかは運なので、諦めず楽しみながら探してみて下さい。

私も出会いとロマンを求めて、なるべく海へ遊びに行こうと思っています(笑)
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