作者の思考

底なる玉の加工②

2013年11月27日

姫川で底なる玉を拾い、勾玉制作を依頼した青年が再び出会ったようです。


今回、彼が出会った「奴奈川の底なる玉」、なかなか良いヒスイです。
全体的に落ち着いた緑色に染まっていて、透明度も抜群です。
茶色の石目が多く入っていますが、そこから割れることはありません。
僅かに濃い緑色も入っていて、とても魅力的なヒスイだと思います。

このヒスイでリング(指輪)の制作を受けました。
リング自体の制作は初めてですが、加工自体は神玉制作の行程に含まれている作業なので心配はありませんでした。
機械化すれば楽に作れるのでしょうが、それでは面白くありません。
やはり「手作業を主とした工具」の開発に止め、可能な限り手仕事で仕上げて行きたいです。


まずは茶色の石目の間を取り、9mmくらいのプレートを切り出します。
そのプレートに鮮やかな緑色が入るように、慎重に切断する部分を決めていきます。
光を透して確認したり、表面の発色を見て判断したり、時には勘を頼りに切断します(笑)

今回は判断した通り、ワンポイントに緑色を入れる事が出来ました!
全体的に薄緑に染まっていても、やはり目が覚める緑色があると見栄えが違います。
石目付近に色があった為、少し茶色が入っていますが、逆にそれが大地から芽吹く生命を想わせる景色となりました。


サイズを合わせる為、慎重に内径を回転させながら拡げて行きました。(何度も測りながら)
外径は旋盤のように回転させ、ヤスリを当てながらゆっくりと円にしていきます。
場合によって不純物により硬度が不安定な部分もあるので、力を入れずに少しずつ削っていきます。(けっこう時間がかかる)

曲線をとっているので薄く見えますが、厚さも3mmくらいあって簡単には割れません。
リング幅も多めにしたので、大抵の衝撃には耐えてくれる事でしょう。


透明度が高いので光に透かすと、より鮮やかな緑となって輝きます。
全体も葡萄の果肉のように柔らかく輝き、とても美しいです。
納得のいく作品に仕上がって嬉しい限り、後は青年が気に入ってくれる事を願います。

今回は、自分で身に付ける予定なのだそうです。
自分で出会ったヒスイの品を身に付けて、未来に向けて頑張ってほしいです。


リング制作の行程も確立したので、自主作品として作って行こうかと考えています。
問題はサイズですね…、ガラスの靴のように合った人だけを対象にすれば良いのかも。
とりあえず簡単な加工ではないので、気長にやって行こうと思います。
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