作者の思考

新作紹介(千徒)

2013年05月26日

今回も、前回と同じ海で出会った赤石を加工しました。


中央部分に近くなったので質が安定するかと思ったのですが、逆により不純物が多くなりました。
その効果?で、魅力的な模様が背部に広がってくれました!
その反面、艶はより不安定となり、自然が作りだした存在を扱う難しさを改めて感じました。




異玉の「千変の幼生」シリーズです。
前回と同様に加工の際は、工具などが真っ赤に染まりました。
作品の形が形だけに「私は産婆さんか」と自分にツッコミながら作成しました(笑)。

不思議な事に黒色の不純物の方が硬く、質もしっかりしています。(おそらくは瑪瑙)
所々に黄色の弱いインクルージョンが入り、艶だしの行程でも削れてしまいます。
均等な面、艶出しには成っていませんが、風合いのある姿には仕上がったと考えています。

赤い部分は粘りが弱く加工の最中にポロっと取れたりして、何度か泣きそうになりましたね…。
当初は足の部分がもっと長かったのですが、欠けていく度に短くなっていきました。
でも加工を終えてみると、丁度良いバランスになったかと思います。


この幼生より千変しながら万化の蛹へと向かう、一つの自然の流れを表現できたかと思います。

これから暑くなり、自然界は謳歌する生命達で溢れていきます。
祝福された季節は短いので、一日を大切に懸命に生きようと思います。
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