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作者の思考
作品紹介
2021年07月15日
今回は天照大御神「翠昇」の七作目を紹介します。

光に淡く色づく雲のような淡翠のヒスイ「彩雲」を加工し、天照大御神を制作しました。
梅雨明けしたての太陽のような淡い生命色を宿し、その輝きは深緑へと向かう植物を祝福しているかのようです。
背景には梅雨の恩恵を受けた新緑の葉を配置し、厚い雨雲に覆われていた空を青空に変えていく「躍動の陽光」を表現しています。




前回の月読「翠月」とは違う素材での制作ですが、共通する「色づく雲のような景色」は十分に備えています。
淡く明るい翠が昇っていく景色を宿し、テーマの「翠昇」に相応しい作品に仕上がりました。
これから深緑へと進んでいく植物や、本格的な夏空へと変わっていく初夏の空を映しているようで、見ていると胸が高鳴ります。





透明度が高いヒスイなので、光に透かすと全体が神秘的に輝きます。
芽吹と彩雲の境界を加工したので僅かな石目が残りましたが、それが葉脈(龍脈)のような景色になりました。(秘めたる美なので段差もなく、一体化しています)
また、ごく僅かですが茶色みが残っているので、「大地から空に昇っていく(水蒸気として昇っていく)翠の揺らめき」も感じられるかと思います。






いつも通り満足な仕上がりになりました!

月読「翠月」と同様に、この1点分しかプレートを切り出せませんでした。
やはり海岸転石からの加工は制限が多く難しい…、でも悠久の時を海で漂っていた(イザナミに抱かれていた)ヒルコ神に、新たな姿(表現)を施したと考えると光栄にすら思えます。

イザナギ(河川)によって分解されたカグツチの欠片も然り、始まりの神々によってもたらされた「魂のカケラ」を扱えるのは幸せな事だと思います。

今の仕事を選んで良かった、そして選んでもらって感謝です!
この期に及んで迷いはありませんが、いつになっても付きまとう不安(弱さ)が踏み出す足を躊躇させます。
それでも、それと共に信じる道を歩んで行こうと思います。(自分の半身なのだから)

もしかしたら作る事に逃げているのかもしれないけど、そうであるならば「作家による究極逃避を魅せてやる」って話です(笑)
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