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作者の思考
三つ巴と言うバランス
2011年07月07日
古来より三つ巴と言われるバランスが存在します。
これを私の仕事に取り入れる場合、「作る側」「売る側」「買う側」の三つが適応されると考えます。

以前は「作る側」の力が一番強く、次第に傲慢になり怠惰な面が多くなっていき、やがて「売る側」に激しい怒りと嫉妬をもたらす存在となりました。
自分達がいなければ商売が行えないという「売る側」の弱みを握っていたからでしょう。

その酬いなのか、今度は「売る側」の力が一番強くなり、「作る側」は衰退して行きます。
原因として「安い人件費」や「安く作る事」の出来る国(人)と繋がった事が最も大きな要因です。
お前達がいなくても商売ができるという現実を「作る側」に思い知らせる意味合いもあったのでしょう。

しかし、現在は「買う側」の力が強くなりつつあります。(賢くなってもらわなくてはならない)
こちらの側の力とは「買う対象の知識を得る」と言う事であり、力を強めた「売る側」のカラクリを監視する事が可能な力となります。(とても重要な役割です!)

商人のモットウは「金にする」と言う事で、何であれ金にする事がこの人達の正義となります。
こちら側では「作る側のこだわり」は、全てコストとなり削減されていきます。
その手法は「知る者が知らない者から搾取する」事であり、優しく騙して利益を得る事を得意とします。

よって、この腐れた鎖を断ち切るのは「買う側」であり、その知識を伝えるのが「作る側」の役目です。

「作る側」から購入する場合は、欲する品に「どれだけ作者が向き合っているか」が値段の基準となります。材質も値段の内に入りますが、ほとんどの価値は「創り出す姿勢」と「作品の完成度」にあります。
(均等に出来ているかでは無く、天然鉱物なので魅力的に仕上がっているかが価値の基準となります)
※作る側には作る側の販売方法でお客さんに正面から対応する必要があります。

「売る側」から購入する場合は、欲する品の「原価」とお客さんの為に「どれだけ動いたか」が値段の基準となります。商品に乗せている利益を納得して貰う為、お客さんの要望に応える「きめ細かなサービス」が利益を得る正当な理由となります。(少なくとも相対での接客が絶対必要となります)
※売る側には売る側の販売方法でお客さんに正面から対応する必要があります。

構図としては「買う側」が「売る側」を監視して、「売る側」が「作る側」を監視して、「作る側」が「買う側」に知識を伝える事で「三つ巴」と言うバランスが保たれます。
この事でピラミットの構図ではなく、真円の力関係になり不当な利益を得る事が不可能となります。
このバランスの目的は「急速な変化」の防止で、「緩やかな変化」を維持して行く事が可能となります。

例えとして1500mを走るのに100m走のペースで走ってはゴールには辿り着けません。
ゴールの位置をしっかりと確認できて、完走できる力量を持ってから走る必要があります。
周りが走り出したからと言って焦って走っても完走出来ず、その人は踏み台とされるのが現在の商売です。
それに私の仕事は競う必要がないので、ベストを尽くして最後まで走る事ができれば成功と言えます。

気を付けることは監視し過ぎて「三竦み」になってはならないと言うことです。
物事が「緩やかに動く事」と「全く動かない」と言うのでは意味合いが全く違います。

ひと昔前から糸魚川は以前のアフリカと同じで、ただの鉱石供給地にしかなっていません。
(アフリカはダイヤなどの宝石が出ますが、こちらは翡翠と言う岩石なので需要は遙かに劣りますけど)

使いこなす意志が無く、志の高い加工人が育つ環境にもないので、この流れがこれからも続くのでしょう。
この「変化がない現状」によって、糸魚川が平和であるのかはちょっと疑問に思いますが…。
(逆に換金目当ての落ち武者みたいな連中が以前よりも増え続けているようです)

世界のジオパークによる規定の「保護と活用」は糸魚川翡翠には全く適応されていないのが現状です…。


余談ですが、「平和と戦争」も同じ事が言えます。
平和とは「変化の無い退屈な毎日」の事であり、刺激を求めると争いが生まれ、やがて勢いを増して様々な存在を蝕んでいきます。
もし全人類の精神が「変化の無い退屈な毎日」に耐えることが可能であれば戦争などは起こりません。
でも現実的には無理な話なので、変化を遅く緩やかにしていくしか方法はないでしょう。
戦争が商売である以上、これも知識が解決する事なのですが、今はそれを阻止されているのが現実です。

もしも、全く変化がなくても人類が幸せに暮らせるのであれば、それは新しい道であり、人間という生物を超越した存在と言えるのかもしれません。
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