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作者の思考
ヒスイ日和(霜月の四)
2017年11月24日
気温が急激に下がり、真冬のような日が続いています。
去年は12月でもトンボや蝶が見られましたが、今年は出逢う事はないでしょう…。

11月中旬(17日)になり、久しぶりに晴れましたので姫川へ遊びに行きました。
すっかり初冬(晩秋)の景色、草花の隆盛は終わり休息の季節に入ったようです。(今現在は山が雪化粧をしています)
前日も雨が降っていましたが、姫川は普段の透明度を取り戻しつつありました。





早速、浅瀬でロディン岩(鴬石)を発見。
よく見ると緑が入っていてヒスイっぽいです(笑)
乾くと白っぽくなりヒスイ輝石は見られませんが、多少は交ざっているように思えます。




次はネフライト、なかなか質が良いタイプです。
これも乾くと白っぽくなり、軟玉特有の石目が目立ちます。
質が良いほど滑らかになるので、乾かす事は識別の基本となります。




こちらは緑の石英が大きく入ったキツネ石です。
濡れていると綺麗ですが、乾くと別物のように白くパサパサになります(笑)
クリアラッカーで保つ事も可能ですが、経年で黄ばんで行きます。(黄ばんだラッカーを落とし、再度クリアラッカーを吹きかければ何度でも楽しめるようです)




今度は、お待ちかねのヒスイを発見。
ほぼ色のない白ヒスイですが、よく見ると先端部分に非常に淡い緑が入っています。
乾かすとヒスイ輝石がキラキラと輝き、触れた質感は堅牢さを強く伝えています。
角張った姿は「川上がり」の特徴を示し、水の中にあった状態でヒスイだと判断できました。




最後は明るい翠が入ったロディン岩(鶯石)です。
芽吹に良く似た発色を示し、様々な鉱物が混ざっているような姿をしています。(こちらもヒスイが少し混ざっているのかもしません)
乾くと少し白っぽくなり、ヒスイ輝石らしきキラキラ(石英か?)は所々に見られますが、確証が持てる程の安定感(石質の安定感)はありません。(岩石感が強い)
座りも良いので飾石になるかも…、自宅の工房で吟味したいと思います。




今回はヒスイと最後のロディン岩(鶯石)の2個を持ち帰りました。(残りは川へ返しました)

確実に判断できる白ヒスイは自身で拾ったから愛着がありますが、それを他者に共有させるのは難しいでしょう。(お金を伴った共有が、一番難しい)
加工するか、飾石として磨くか、自身の品を作るか、販売する品を作るか、悩むところです。

また「運により所有権を得る」か、「金銭によって所有権を得るか」も難しい話で、遊びなら「運によるもの」が良く、仕事なら「金銭によるもの」が良くなります。

なんであれ仕事にするのなら「拾えないもの」を売る事が必用なのでしょう。
普通に考えれば「簡単には拾えないレベルのヒスイ転石」や、「磨かれた(加工された)ヒスイ」は金銭が大きく関わってくる品に成り得ます。
後者は自分で拾ったヒスイを磨けば(加工すれば)得られますが、相応の機械と経験(労力)が必用となります。(結局は、お金が必用となります)

ちなみに「切断されたヒスイの端材」は海に捨てられたりするので、たまに拾えます(笑)

拾う見本として「そのままのヒスイ転石」も売れますが、ヒスイの特徴がハッキリ解る海岸転石が良いので簡単に揃わないです。(サイズも「小さすぎず、大きすぎず」が大事)


更にある意味分別が難しいのは「ヒスイを含むロディン岩」と「ヒスイ輝石岩」です。
ヒスイ部分の量で分けられるのでしょうが、どうやって測るのだろうか?
転石ならともかく、中身が見えない巨大な岩石は憶測でしか判断できないでしょうね…。

きっと「微量にヒスイを含む巨大なロディン岩」もヒスイ輝石岩としているのでしょう。
よって今回の最後に拾ったロディン岩(鶯石)は、微量にヒスイが含まれていたとしても「ヒスイを含むロディン岩」とするのが基本となりそうです。(巨大な岩じゃないので)
判断基準は「サイズ」と「純度」で、一定レベルの加工人の総意が重要になるかと思います。

基準を下げて「ヒスイとしたがる者」と、基準を上げて「ヒスイを分ける者」とが混在していますので「趣味の領域で通用する話」と、「仕事として通用しない話」を認識する必用があります。
ちなみに地元の年輩者はロディン岩を「軟玉」と通称している人が多いですが、軟玉は角閃石系(特にネフライト)の総称なので話が噛み合わなかったりします(笑)
でも感覚的に軟玉と呼ぶのは解る気がするな…、きっと硬玉以外の「非常に似た鉱物は全て軟玉」として考えているのだと思われます。(私が鴬(鶯)石と呼んでいるように…)

この辺りの事を共有して行くのは難しいですが、今後は必要となる話だと思います。
ちなみに発色部分のオンファス輝石(コスモクロアも)と、ヒスイ輝石とを完全に分ける必用はないでしょう。(ヒスイ輝石の名前を変えないと「ヒスイ」の総称が保ていない(笑))

岩石だから難しいのですね…、でも岩石だからこそ宿る魅力があるので面白いです。

ヒスイ輝石を遺伝子と考えるのなら、そこにどうしても優劣は存在してきますが、用途を変えれば活用できる場が広がるでしょう。
どうにも成らない事に挑むのでは無く、最大限に活用できる場を判断して高める事が重要だと思います。
そう言う場を見出せるセンスも必用なので、自然から学び成長して行けたらと思います。(先はまだまだ長そうです…)


長々と書きましたが、最後は加工品の紹介です。
こちらはコラボと言うよりアレンジした品で、革紐に淡青のヒスイ玉と、白のヒスイ玉・淡翠の牙玉を合わせました。
身に付ける際は凸の金具から、外す際は凹の金具を軽くひねって脱着して下さい。


レザーブレスも、バリエーションを増やして行けたらと思っています。(冬はヒスイ加工と同様に、レザークラフトも辛い仕事になるそうです)

11月も後半、無事に今年(冬)を越せるよう頑張ろうと思います。
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