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作者の思考
職人と作家の違い
2011年06月17日
この二つの違いは知られているようでいて、あまり明確に伝わっていません。
同じ「ものづくり」として似通った部分が沢山あるので分かりづらいのかもせれません。

私が認識している限りで、分かりやすく極端な特徴を上げてみます。(あくまで私的解釈です)

・極端な作家
生粋の作家は常に作品を作る存在で、自分や自分以外の人間を使って無形のものを有形のものとします。利益に関係なく創作活動を行い、表現を自在に操り、その規模を大きくも小さくもする事ができます。他者が一切介入できない自身の世界(芸術)を根幹に持っている人達です。
(作家として生きれば作家となり、一流かは他者が好きに決める)

・極端な職人
生粋の職人は常に商品を作る存在で、その対象をより上手く、より速く仕上げる為に腕を磨き、他者の追従を許さないよう超絶技巧を求めてひたすら錬磨します。優劣を決めるのはその卓越した技巧のみと言う、とても器用で、拘りという世界(伝統)を根幹にもっている人達です。
(一つの基本を切磋琢磨し、親方に認められて初めて職人となる)

作る側の人には誰しもがこの両方を少なからず持っていて、どちらかに特化した人が「作家」や「職人」として呼ばれるのだと考えています。(現代では、ただの肩書きになりつつあるように思えますが…)

私の中にも両方の考え方あり、作家方面としては、「腕だけを磨いてもそれを活かす対象を創れない職人は駄目だ」と考えている反面、「自分の創り出したい表現を人に任せる作家は駄目だ」と思っている職人方面の自分がいます。

作家の視点から見ると、昔に存在している品を作るのは自分の技巧を高める為の練習であり、それをどれだけ上手に作ったとしても模造品や贋作となってしまいます。
作家にとって技巧を高めるのは己の表現を具現化したいからであって、復元したいからではありません。
でも過去の情報とは完全に決別する事は不可能なので、その情報に自分の表現を合わせ、高めた技術を使いこなして「自分オリジナル」の作品を作っていく事が大切になります。(売っていく事も大切…)

職人の視点から見ると、現代で完全な新しい存在を誕生させることなどは不可能であり、過去と正面から向き合えない者が作った品は駄作や不良品となってしまいます。(未来へも進めない)
職人にとっては基本が大切であり、その意志と技術を未来へと繋げていくことが必要不可欠となります。
しかし、職人は伝統を継がせる必要があるのに追従できない領域を求めてしまうので、技巧を高めながらも「継承者の育成」にも力を注ぐことが大切になります。

どちらにも大切な部分があり、注意すべき部分があって、どっちが正解と言うことはありません。
作っていく人にとっては「どちらも必要である」と言えると思います。
ただ、双方ともに言える事は、その「脆さ」や「危うさ」が作る人間を美しくしている事は事実です。
心は常に豊かでいて、生活はギリギリ安定くらいが一番良いバランスになると思います。

結局は同じ存在からの派生なので、私としては「人に依存せず自分でも表現して生きていける作家」を目指し、「腕を上げながら発想力を養い創作できる職人」も目指す事が大事なのだと考えます。
(私には親方がいないので本当の職人にはなれませんが、幼少の頃に画家である祖父に教わった表現技法や生き方を参考にして作家の道を進んで行きます)

過去に向かい合って錬磨して、現在で表現を加えて具現化し、それらを柱に未来へ繋げる道筋を創る。
それが最終的な目標であり、一個人の規模でも良いので実現して行きたい「信念」でもあります。
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