2016年03月12日
三月に入り天気が安定してきたので、押上海岸へ行って来ました。
今回は1日と4日の事を書こうと思います。(先週の話ですけど(笑))
まずは1日、二月の終わりに雪が降ったので海岸にも雪が残っていました。
天気も快晴とはなりませんでしたが、太陽が顔を覗かせると海と浜辺が美しく輝きます。
波の状態は程良く、転石を探すのには絶好の環境でした。
しかし好環境とは裏腹に、なかなかヒスイとは出逢えません…。
ヒスイじゃなくても魅力的な鉱物の標石(標本となる石)があれば、それだけで満足なのですが、それも簡単には見つかりません。(どの鉱物も良いものは少ない)
やっと出逢えたのが、このオンファス輝石です。
質も滑らかな方で模様も面白い、浜辺にあるとひときわ発色が違います。(これも光を膨張させる何かがあります)
翡翠輝石を主成分としているので、同じ様な特徴が見られるのでしょう。
とにかく乾いてもパサつかず、僅かな光沢を宿して重さも十分に備わっています。
加工に向くのは一色タイプが理想で、それはネフライトや蛇紋岩に良く似ています。(でも転石時の艶が全然違う)
天気が不安定になってきた夕方頃に、やっとヒスイと出逢えました。
大きめの転石ですが、ちょっと肌が荒れていて美しくないなぁ…。
これは磨くか加工してあげると良いかも、ヒスイである事は間違いないので魅力的な見せ方を考えれば、ちゃんと輝いてくれます。
1日はこんな感じで終わり、簡単にはヒスイと出逢い事を再認識しました。
また次の機会に期待して「良い出逢い」を待ちます。
その出逢いは三日後の4日にありました(笑)
海岸にあった雪はすっかり無くなり、空も海も本来の色を取り戻しつつあります。
先日まで荒れていた海も穏やかになり、今回も絶好の環境が整っています。
でも「環境が良いから拾える」ってわけじゃ無いのは経験済み、それでも勝手に高まる期待に胸を躍らせながら歩きます(笑)
少し歩いていると、鮮やかな翠が目に入りました。
すかさず拾うと、ただの陶器の欠片…、茶碗の欠片か知りませんが、このガッカリ感は体験した人にしか解らないでしょう…。
思わず「ふざけんな」って言いながら下に投げ捨てたところ、それを放った場所にヒスイの転石がありました(笑)
くすんではいますが良質で、その青みがかった姿は美しいです。(ちなみに滅紫と言う表現があるのなら、滅青と言う表現も在って良い気がする)
翡翠輝石も煌めいて非常に魅力的、このレベルなら満足、このままでも飾っておけます。
この出逢いをくれたのは下に投げ捨てた陶器の欠片なので、今後は邪険にできませんね…。
これから綺麗な陶器の欠片を見つけたら、一度は投げ捨ててみるのも面白いかもしれません(笑)
これを切欠にしてヒスイラッシュに入りました。
次に出逢ったのは、丸みを帯びた団子みたいなヒスイです(笑)
堅いヒスイがここまで丸みを帯びるのには、相当な時間が必用でしょう。
考えるに、この丸みは海で研磨されたと言うよりは「川にあった段階での研磨」が、大きく関係しているかと思います。
姫川である程度の曲線を備え、海中で整えられたのだと思います。
裏には割れた痕跡が見られるので、表との違いを観察する事もできて面白いです(笑)
これも形が良い(座りが良い)ので、そのまま飾って楽しもうと思います。
更に歩くと、動物の歯や骨を想わせる質感のヒスイと出逢えました。
こちらも翡翠輝石がキラキラと輝き、滑らかな質感は見ていて飽きません。
透明度も高い方なので、光の透過を楽しむ事もできるでしょう。
やや黄色がかっていますが、黄色ヒスイでは無いようです。
もっと芯まで黄色が染み込んでいたならば、黄色ヒスイに成り得るタイプなのだろうか…。
このタイプには、そんな可能性を感じさせられます。
最後に出逢ったのが、この薄緑のヒスイです。
とても滑らかな石質で、春を想わせる優しい発色は癒しになります。
透明度は低いですが、逆に光を膨張する特徴が際立っているヒスイだと感じます。
波が引いた瞬間に目に付き、すかさず走って押し寄せる波よりも早く戻りました(笑)
非常にタイミングが良かった…、少しでも遅ければ、この小さな転石は一波でどこかへ行ってしまったでしょう。(それだけの強さの波があった日でした)
この転石が最も「一般的なヒスイらしい発色」をしていて、これなら在れば初心者でも見つける事ができるでしょう。
今回に出逢ったヒスイたちはレア度では2〜3ですが、それぞれに魅力的な姿をしています。(レア度は2が標準です)
またレアの基準とグレードの基準は、それぞれに違いますので自分の経験則を元にした方が間違いないかと思います。
まぁ、誰が見てもハイグレードの宝石翡翠であれば、専門の鑑別機関での格付けが必用でしょう。(それはたま別の領域の話になってきますが…)
ともあれ前回よりも収穫が多くて良かったです!
まだまだヒスイとは出逢えます、きっと糸魚川の海からヒスイが無くなる事なんて無いのでしょう。(少なくはなりますが)
あとは、そのヒスイたちと「どのように関わっていくのか」が、人としての豊かさに繋がっていくように思えます。(人間関係にも似ていますね(笑))
ヒスイを仕事としている事で踏み外す道が在るのだとしても、この「ヒスイとの出逢い」や「人との出逢い」が、それを正してくれるように思えるのは私だけなのだろうか…。