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作者の思考
作品紹介
2015年05月12日
今回は、お客さんからのオーダーで制作した「石長姫と速津瀬神の珠玉」を紹介しま
す。
連休前に来られて、一緒に観光と鉱物拾いを楽しんだ女性からの依頼です。

住んでいる地域の川で出会ったという、桃色の大理石を加工します。
桃色の地に白い脈が見られる大理石で、表面はゴツゴツとしています。
どこまで滑らかに出来るのか、少し心配ではありました。




その心配とは裏腹に、研磨していくと美しく輝きました!
硬度は思ったより高く、切断時はボロボロと砕けた石質でしたが削ると滑らかになり
ます。
お客さんが小説にした「石長姫と速津瀬神の物語」を、自分なりに表現できたかと思
います。(流木を使って川の流れも表現してみました(笑))




大きな原石の方で、大珠を作りました。
片面には不純物による黄色い雲模様や、黒く輝く金属の星々が入っています。
モワモワと結晶が折り重なる景色も見られ、鉱物の中に花々を宿しているようです。
白く流れる脈も美しく、澄んだ緩やかな川の流れを想わせます。





小さい原石の方で、勾玉を作りました。
こちらも白と桃色の模様が美しく、その身に猛々しい奔流を映しています。
川の流れにより磨かれて美しく輝く、そのコンセプトの「動」を担った勾玉です。
こちらも艶やかに仕上げる事ができました!





実物はもっと赤みを帯びた濃い桃色をしているのですが、光源も影響したか画像では
上手く出ませんでした…。(まぁ、画像だし実物は問題無いのだから良いけどね(笑)


石と川を原点とした二柱の物語、とても面白かったです。
ゴツゴツした岩も、川に砕かれ磨かれて美しい姿になって海へ出ます。
その自然現象をロマンチックに描き、上手に物語にしていると感じました。

妹のサクヤヒメに劣等感を感じている様子も、女性らしさを引き立てています。
でも流石は姉、儚さのない鉱物で花と同様の華やかさを宿しています。
それは磨き出す事により一層際立ち、より魅力を増して永劫に輝きます。
鉱物を加工する者も「そういう存在を扱っている自覚」が、必用だと改めて思いまし
た。

物語に語られる存在を具現化する、それは私の芸術の原点でもあります。
物語とは真実が元になって作られた存在であり、その原点を感じとるセンスも必用で
しょう。
自然(神)を宿しながら人が作り上げる品、そんな作品を残して行けたら幸せです。

今回は、とても良い経験をしました。
いつの日か、私の想い描く石長姫と速津瀬神を、神玉で誕生させたいと思います。
(その前に、やる事が沢山あるのですけどね(笑))

とにかく、いろいろと頑張ろうと思います。
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