2014年08月21日
今回は、奴奈川の勾玉を紹介します。
最近、糸魚川翡翠との縁で知り合った友人から、制作依頼を受けました。
その友人が出会った奴奈川の底なる玉…、かなりの良質です。
表面には明るい翠が見えていて、ヒスイ全体が淡緑に染まっています。
よく練られているヒスイで、ミャンマー産に似ている為、素人では判断が難しい場合があります。(販売している場合の話)
でも、このヒスイは本人が出会ったので、疑いようのない正真正銘の「奴奈川の底なる玉」です(笑)
玄人が見れば、これが青海の山系のヒスイなのだと分かるでしょう。
丁度、石目の部分を切断すれば勾玉を二つ加工できるので、奴奈川の勾玉を二つ制作する事にしました。
一方に明るい翠が寄っているので、同じ母石から作っても別の魅力を見せてくれるかと期待しました。
まずは、明るい翠が入っていたプレートで制作した奴奈川の勾玉です。
外側に明るい翠が入っていて、内側へ行くにつれ柔らかい翠へと変わっています。
可能な限り明るい翠を残す事を最優先し、プレートを限界まで使い、青海系(山系)特有の不純物を残して加工しています。
不純物を無くそうとすると小さくて細い勾玉に成ってしまい、魅力が半減します。
この雲のような、残雪のような模様も天然特有の景色として魅力的なので、あえて残す判断をしました。(友人に了解済みです)
結構な大きさの勾玉が仕上がり、友人も驚いていました。
左右で表情が違うのも面白く、一点ものとして満足のいく作品に仕上がりました!
これ程のヒスイと出会うのは希で、一生出会えない人だっています(笑)
致命的なヒビも無く、艶やかに仕上がるので加工していても楽しかったな〜。
光を当てると、全体が生命色に輝きます。
非常に透明度が高いので、弱い光源でも透けて翠が膨張します。
古代の景色が見えるような…、そんな錯覚を一時的に楽しめるかと思います(笑)
友人(その家族)専用のお守りとなれば、嬉しく思います。
次は、もう一つのプレートで制作した奴奈川の勾玉です。
期待通り違う表情で、こちらは湖水のような緑が全体を染め、黒色も一緒に流れています。
葡萄の果肉のような質感で、透明度も抜群に高いです。
とても涼しげな印象で、青みがかった緑により清涼感を感じるのだと思います。
所々に流れる黒色も、魅力を引き立てている大切な要素です。
サイズは一方のより若干小さくはなりましたが、それでも十分な大きさと厚みです。
黄色く酸化した部分や、少しのヒビが入っていますが、魅力を損なうものでは無いかと…。
特に自身で出会ったヒスイなので、愛着を持って所有してもらえると思っています。
形も可愛らしくなったので、奥さんかお子さん用にしても良いかもしれませんね。
こちらも弱い光源でも、全体が緑に透けます。
とても幻想的、黒色の部分も透けて星雲みたいになります。
もしかしたら翡翠は「人類最古の現実逃避の存在」だったかもしれませんね(笑)
厳しい冬に眺めていれば、やがて来る春を希望に生き抜けそうな気がします。
二つの奴奈川の勾玉を持ち、悠久の時に繋がる「何か」を感じてもらえたらと思います。(磨きの最終行程をして、今月中には納品する予定です)
ちなみに私の勾玉は、プレートを最大限に使うので形がそれぞれ異なります。
また、自身の信仰による伊邪那岐と、他者に作る勾玉(奴奈川の勾玉)は、その誕生理由と存在理由が若干違います。
どちらが良いと言うわけでは無く、ただ私の信仰を押しつける事の無いようにしているだけですね…。
その人の「魂の器」となるように、余計なものは最小限にしています。(でもテーマやコンセプトは必用)
まぁ、同じ人(私)が作ってますので、どうしたって私の信仰は少し宿ってしまうのですが(笑)