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作者の思考
作品紹介
2012年11月27日
今回は迦具土と素戔鳴の新作を紹介をしていきます。

火之迦具土神「雷火」-壱-


無数に走る黒い稲妻模様がある滅紫のヒスイで制作しました。
これと同じヒスイで武御雷神「天尾羽張」-壱-も制作してあります。
神話で綴られる悲劇に関わる重要な神を、イメージに合う同じヒスイで形にしました。(怒りと悲しみを表現し、それでも先に向かう強固な意志を込めてあります)
デザインから少し外し加工を攻める事で、イザナギの魂がボロボロ寸前になった状態も表現してみました。

半身とも言えるべき存在を失いながらも、闇に落ちる事なく、傷ついた魂に僅かな火を灯しながら新たな神々を創りだしたイザナギの神。
くすみながらも紫色に輝く魂が、現代に生きる誰かの希望となる事を願っています。


建速素戔鳴尊「傍若無人」-弐-


かなり純白に近く透明度も高い白ヒスイで制作しました。
一般的に白色は多く存在すると言われていますが、多いのは「白っぽいヒスイ」です。
殆どの白ヒスイは混じった色で、薄い灰色だったり、黄ばみがあったり、薄い翠が入ったりします。
色として「純白」と「漆黒」は非常に珍しいと言えるかと思います。(探しても容易には見つからない稀少な存在です)

そんな白ヒスイで、これから訪れる冬を題材にした作品を作りました。
厳しい冬のイメージはもちろんの事、雪化粧した「美しい世界をもたらす存在」としても表現してあります。(スサノオなので、必ず厳しさは付いて回ります)
分かる人には分かったと思いますが、通常のスサノオより腹部を丸く仕上げています。
スサノオのイメージを大切にするならば、あまり丸っこく作る事は適切ではありませんが、今回は雪の「柔らかさ」や「儚さ」も込めたかったので、可能な限り曲線を付けてあります。
難しいのはバランスを崩すと「牙を抜かれた太った龍に成りかねない」って事です。
良質なので艶も付き、納得のいく作品に仕上がって満足しています。


この時期の加工は寒くて大変ではありますが、時間をかけて一つ一つ丁寧に創作して行こうと思います。
それが糸魚川ヒスイを使う者の使命であり、条件なのだと感じている毎日です。
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