作者の思考

作品紹介(前編)

2014年12月05日

以前から気になっていたヒスイ(オンファス輝石)で、勾玉制作を試してみました。

海岸で出会ったヒスイ(オンファス輝石)で、この魅力的な紋様を活かそうと加工しました。
その前に少し気になったのは、俗に言う「粘り」の有無で、これがないと加工中に割れてしまう恐れがあります。(鉱物を加工するのに絶対必要な条件です)
表面には幾つもの小さな割れ目が見えたので、気になってはいました…。




その心配は現実となり、なるべく避けた筈の致命的なヒビにより、破断してしまいました。
紋様を重視して「確認していた避けるべきレベルのヒビ」を避けず、押し通した結果がこれです…。
この事でも分かるように、致命的なヒビと言うのは加工中に割れます。
久々の徒労感、半端じゃない喪失感…、でもそれは私にとって「再び前へ進む情熱」へと変わります。(こういった事で、私は情熱に火がつくんですよね(笑))





すぐに新たなヒスイ(オンファス輝石)の加工に入りました。
先程の失敗に学び、表面の割れ目が無く練られた素材を選びました。
そのまま加工に入ったので転石の画像を撮っておらず、切断した欠片を掲載します(笑)
先程のより色が濃く光沢も良いですが、面白い紋様は少な目になってしまいました…。




しかし、加工する事で解るのですが、段違いの堅牢感と重量、純度の高さがハッキリと出ます。
この青銅色の肌はキメが非常に細かく、ヒスイ輝石らしき光も所々でキラキラと輝きます。
古代を想わせる色彩が美しく、個人的に魅力を感じていたので予想通りの姿になり満足です。
削り込んでいくと魅力的な紋様も出てきて、自分の中で創作意欲が高まっていくのを感じました。





不思議な事に、この勾玉を造形している最中に「ヤマトタケル」の名が、頭に浮かんできました。
私の中の古代のイメージが、あの「英雄と呼ばれている存在」を想わせたのでしょう。
古代らしさを強調する為のカタチと丸みを重視して「縦方向から見る勾玉の特徴」に気を付けて加工しました。
ちなみに異玉・生玉・神玉は、横方向を重視したデザインにしています。(大珠・勾玉の縦横兼用の柔軟性を、取り入れて未来に繋いだスタイルです)





悩むのは艶出しの必要性で、触り心地や風合いを考えると艶消しの方が古代っぽく感じます。
しかし、手抜きにも思える(思われる)し、現代で磨を抜かしてしまうと文字通り「間抜け」になりますね…。(正確に言えば「磨き」と「艶出し」は違うので、艶消しが手抜きと言う訳ではないのですが、解り難い基準なのは確かです)
磨きには曲線を整える行程も含むので、より完成度を高めるには磨きが必用でしょう。(私の研磨の場合は)
この触り心地は個人的な趣味として楽しんで、この奴奈川の勾玉「ヤマトタケル」は艶出しする(磨く)事にしました。

その話は、後編でお知らせします。
楽しみにしていて下さい。(気になる人がいればだけどね(笑))
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