作者の思考

作品紹介

2014年05月17日

伊邪那岐「萌芽」の弐作目が仕上がったので、紹介します。

この作品は3月から制作を始め、ようやく仕上がりました。
何にそんなに時間が必用なのか?、が知りたければ作品(お守り)を作れるようになれば解ります。
強いて加工の工程で言うのならば、磨きにとても時間をかけました。

渓谷の残雪の中、新たな生命の誕生を想わせる明るい翠が印象的な作品です。
霜降りのように見える白地は美しく「冷たさ」と「暖かさ」を同時に与えてくれます。
頭には濃い緑が入るよう加工し、深緑への成長を表現してみました。
その頭部には不純物による小さな凸凹がありますが、それが雪解けにも見える事から、結果的にテーマに合った作品に仕上がったと満足しています。





このヒスイは美しい白地とは裏腹に、非常にデリケートで、雪そのものを磨いている印象でした(笑)
と、言っても柔らかいわけでは無く、キメの細かい部分と粗い部分が入り交じっている感じです。

私が「芽吹」と呼んでいるヒスイになるのですが、明るい翠や光で膨張する白地が特徴です。
それと磨きが出し難い事も…、艶消しで仕上げるとヒスイ輝石がキラキラと輝き、さらに翠が膨張するのでとても美しく仕上がります。
ですが、あえて磨いて艶を出し、気品を持たせる事を目指して加工しました。




加工人として、このタイプのヒスイの艶の出し方も研究する必要があります。
実際、ピカピカに仕上げる方法は在るのですが、それとは別に「風合いを残しながらも艶やか質感」を目指して取り組みました。
何故そこを目指すのか?、ですが「大量生産ではなく、システム化されていない技法が必用だから」と言う事が大きいです。
それぞれに合った技法が大切で、ヒスイ一つ一つが同じでは無く、それらを感じながら制作しなくては作品は生まれません。
そこを大切にしなくては「作品」と「商品」の違いも出せず、道具に成り下がります。

道具との大きな違いは、どれだけ大切に使っても道具は消費しますが、道具で無いもの(お守り)は信仰がある限り不滅です。(ヒスイ自体も不滅、5億年前から存在していますから)
そして全ての人間から信仰が失われる事は未来永劫あり得ず、よって不滅の存在として人と共に在り続けるわけです。(大量生産ではヒスイであっても、誕生理由・存在理由から不滅なだけの「ただの飾りとしての道具」となります)


こういった事が理解できれば、ヒスイの作品を高額に思う以前に、食費(生活必需品)というものがどれだけ高額かが解るのではないでしょうか?
一生の(っていう死んだ後も在り続ける)品と、数ヶ月・数年で消費する食費を計算した場合、割に合わないのはどちらなのでしょうか?(腹が膨れはしませんが、魂は満たされ続ける)

まぁ、目先の事にとらわれていたのでは、理解しようもないでしょうけどね(笑)
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